「2019年01月7日」の記事

さくらニュース 18年 12月号 徹底的に考える

2019年1月7日 / さくらニュース

目標とモチベーション

目標管理制度は多くの中小企業でも導入され、制度としては浸透しているかもしれません。これはロック&レイサムの理論が提唱されたものです。ただ、多くの中小企業では目標が必要だからというだけで目標を作っていて形骸化しているのではないでしょうか。つまり、重要なことが抜け落ちていると思うのです。目標設定には必要な4つの要素があるからです。それは

  1. 「目標の困難度」
  2. 「目標の具体性」
  3. 「目標の受容」
  4. 「フィードバック」です。以上を少し解説します。
  1. 「目標の困難度」は、困難であるものの達成可能

な目標がより自己効力感を発揮させやすいことに基づく要件です。難しすぎず、簡単すぎない、なんとか達成できるような困難度の目標が、努力を継続させ、それに伴って業績を生み出しやすいと考えられています。②「目標の具体性」は、それが達成できるかどうか、また自身の進捗や成果を実感できるよう、数値や期間などで具体的に示される必要があります。これが「目標の具体性」です。困難度があまりに低い、または高すぎる目標ではないか(困難度の欠落)特に企画部門において、進捗が管理しにくい具体性のない目標になっていないか(具体性の欠落)従業員自らが意志をもって設定した目標ではなく、上長の指示によって書かされた目標になっていないか。③「目標の受容」は設定した目標をメンバーが納得していること。④「フィードバック」は日常の進捗状況の確認が行われているか。今や汎用的なモチベーション施策とも言える目標管理ですが、その進め方に誤りがあっては意味を成しません。

トップや人事部門としては、今一度、各部署で行われている目標設定をチェックする必要があるかもしれません。筆者が見て慢性的な目標未達の会社・個人へのアドバイスですが、例えば、いつも月間目標の50-60%ぐらいしか達成していない営業マンの目標をいつまでもそのままにしている組織があったりします。それは問題です。その際は人によって目標を変え、個別に頑張れば達成できそうな目標にすること。それが達成できたら目標アップ。そうしないと上の人も当人も達成できなくて当たり前という雰囲気が出て、目標自体に意味がなくなります。そうすると他のメンバーとの公平性を欠くという反論が出そうです。それについては、目標に意味を持たせる必要があります。担当地域、職種、経験年数、役職、仕事の難易度、その他の条件によって目標を変えることです。まずはトップが全体の目標を決める意思を持つことが重要です。そして、その組織のメンバーも含め話し合って個々の目標を決めることが重要です。それは簡単ではありません。意見の言えない人もいるでしょう。そこは上司のリーダーシップが必要になります。

さくらニュース 18年 11月号 モチベーション

2019年1月7日 / さくらニュース

「見える化」でモチベーション?

モチベーションの10の法則の代表的理論の中に「テイラーの科学的管理法」というものがあります。アメリカのテイラーという学者は業務を明確にするため、まず工場内の作業を細かく分析しました。そして、それぞれにかかる時間をストップウォッチで計測する「時間研究」と、多数いる機械工の中でも特に熟練の人材の動きを観察し、効率的に作業を進めるための「動作研究」を実施します。これらの研究結果をもとに、一つ一つの作業内容や手順をマニュアル化し(標準化)、全工程を「見える化」することが、テイラー・システムとも呼ばれる科学的管理法です。つまり「見える化」で組織のモチベーション・アップが可能になります。営業でも経理事務・総務・配送でも相互に納期や目標に対して現状の進捗状況を表示、現状は遅れているからもっと頑張らなければと意識します。あるいは各工程のムリ、ムラ、ムダなどをグラフで表示するなどのことを行えばうちの部門は暇だから忙しい部門を手伝おうなどという気持ちになります。少なくとも日本人は他者とのチームワークを重視しますので、他者が困っていたら助けようという気持ちがあります。他者が困っている状況、溜まっている状態が分かれば協力しようという行動になるものです。問題(他者が困っている状況)はそれが分からなければ仕方ないのですが、分かれば、つまり見える化すれば協力するのです。また、営業の仕事であればあくまで営業マン自身の中で、顧客の個別の営業進捗状況が把握されているのが普通です。しかしながら、それらの進捗状況も「見える化」されて上司も周りからもどの程度進んでいるか分かれば、周りからの適切なアドバイスも可能となります。それだけではなく、営業マン自身も客観的に自分の仕事を見ることができるので、具体策を立てやすくなります。例えば、キーマンは誰なのか、会っているのか。

キーマンは問題点を解決しようとしているのか。デモは行っているか。こちら側の上司の同行訪問はしたか。提案書は説明しているか。関係部署には訪問しているか。担当者はニーズを認識しているか。予算はあるのか。等々を「見える化」していれば、自ずと次に行うべきことがセルフチェックで分かるというものです。営業マンの顧客の進捗状況の全情報の「見える化」は無理だと思いますが、重点客のみを「見える化」は可能だと思いますし、そうした一部の情報をPCで共有しグループ全員でチェックしあうのもいいことではないかと思います。今回のこの項の後半では営業部門中心に具体的に説明しましたが、前述のようにどの部門でも「見える化」は可能ですので実践してはいかがでしょうか。

さくらニュース 18年 10月号 モチベーション・アップ

2019年1月7日 / さくらニュース

モチベーション・アップ

日産を引き継いだ当時のカルロス・ゴーン社長は経営者にとって一番大切なことは社員のモチベーションをアップさせることだと言いました。他にも経営トップとして時代の流れを読み、自社の戦略を策定することやトップの人事など重要なことが多くあるはずです。そんな中、社員のモチベーション・アップが一番重要だと言い切ったのでした。そして、社長になったゴーン氏は社員のモチベーションを高め、初年度から日産を黒字に導いてきました。会社の歴史上、未曽有の赤字を出していた日産をなぜ初年度から黒字にできたのでしょうか。メディアなどで言われていたことは、系列などの日本的経営の「しがらみ」を排除したこと。これは日本人経営者には不可能だった、という論調がありました。これも肯定される意見の一つでしょう。筆者はそれよりも何よりも社員のモチベーションを重視したからだと思います。その一つは社長になる前の準備にあると思っています。報道によれば社長を引き受けるにあたって、過去の根深い問題点などを完全に断ち切っていたというのです。例えば、生産性の低い工場の売却、前述の系列の排除、不要資産の売却等々です。社長になる前の準備期間にこれらのことを行いました。よって、極端なことを言えば、社長になったときは、すでに誰が社長になっても黒字に転換できるというような改革を行っていたというのが筆者の考え方です。ですから、ゴーン氏が社長になり赤字から黒字に転換したことで社員はこの人の下なら頑張ろうということになったと思います。

だからモチベーションが上がったというわけです。このゴーン氏の取った行動、つまり、モチベーション・アップの対策を日本の一般中小企業の幹部が見習うためには、どのようなことを考えればいいでしょうか。筆者は思うのですが、このリーダーについて行けば目標達成できると部下に思わせることがポイントではないかと思います。それは仮に高い目標であってもメンバーに「達成できそうだ」と思わせるようにするということが重要です。営業部門を例にとって説明しましょう。当然単に「高い目標だが頑張って達成しよう」とかけ声だけかけても無意味です。リーダーはこの目標達成のために今までは行っていなかった次のような例の具体策を展開しますと宣言。

①販促策として展示会を行い集客し会社全体で営業部門をバックアップ。②上司の同行訪問を前期比120%アップ。③既存顧客に対してキャンペーンを打ち、買い替えの際に特別の特典を付けます。等々です 再度付け加えますが、メンバーが「これなら目標達成できそうだ」と思わせるような具体策でなければ意味はありません。