さくらニュース 17年 7月号 外面重視 

2017年7月11日 / さくらニュース

外面を作ろう、内面を育成するために

筆者はボランティア的に笑いの効果についての講演をすることがあります。その際、スタート時に受講者に二人一組で顔を見合わせてもらい、あえて無理して大きな声で笑ってもらいます。これをやることに二つの意味があります。一つは講演スタート時にこれをやると、明るい雰囲気が作られます。二つ目は無理して笑ってもらっても、実際は笑っている本人も心の状態が面白おかしい気持ちになるので、その気持ちを確認してもらいます。ある意味、顔の表面に笑いを作ることが、内面の心も笑い、楽しくなることを実感してもらいます。その時に以下のように解説します。「皆さん、今おかしくないのに無理して笑っていただきましたが、それでも途中から気持ちや心も本当に面白おかしくなりましたよね。なぜでしょうか? 実は人間の心は人間の体、つまり、形、姿勢、表情などに大きく影響されます。表情や体の姿勢や形を作っていると、作っているその姿勢や表情にあった心になっていきます。別のことで実験してみましょう。今から感謝の気持ちを表す2種類のお辞儀をしてみます。最初は首だけをちょこんと曲げるだけで『有り難うございます』と声に出して言ってください。そしてその時の自分の気持ちを把握、感じて下さい。次に深くお辞儀をします。腰を約45度に曲げてゆっくり3秒ほど『有り難うございます』を声に出して言ってください。この二回目もその時の自分の気持ちを把握、感じて下さい。そして二つの違いを把握してください。と説明し、その二つのお辞儀を実際やっていただきます。その後、近くの受講者の方に感想を聞きます。そうすると「後のほうが心がこもって本当に感謝している気がした」と言うような言葉が返ってきます。そうです。体の姿勢や表情を作ると心や気持ちもそれに従っていきます。これを「形入(ぎょうにゅう)」と言います。形から入っていくので、「形入」です。これは笑いと感謝の気持ちだけではなく、お詫びの気持ちを表すのも同様で、深いお辞儀のほうが浅いお辞儀より外面も内面もお詫びの感じがします。よく「言葉だけで心がこもっていない」などと言われることがありますが、このように感謝やお詫びの気持ちを表す際に深くお辞儀をすれば、第三者に心がこもって映ります。また、形に表すことによって心がこもり、心が成長します。笑いも感謝もお詫びの心も同様だとお伝えしましたが、この3つだけではなく、人間の気持ちに関するあらゆることが同様です。例えば明るい気持ちを作るには上を向いて歩き、歩幅を大きく早めに歩くなども同じ効果があります。