さくらニュース 19年7月号 試すことが重要

2019年7月5日 / さくらニュース

試すことが重要

人生は見たり、聞いたり、試したり、の三つの知恵でまとまっているが、世の中の技術者たちは見たり聞いたりばかりで一番重要な「試したり」をほとんどしていない。あらゆることが、失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を嫌うもんだから成功のチャンスも少ない。

本田宗一郎氏の言葉だ。「ん……」なるほどと思いました。深い言葉です。例えば、昔なら法人向け商品のDMで1000通発送したら受注率はどのくらいになるか。そのDMを出したのは企業向けか? どのような業界向けに出したのか?、企業規模はどの程度の従業員数なのか?、きっとこのような方法でそういうことを試してみたらそれなりに受注率は変わってくると思います。さらにはそのDMのコンテンツもキャッチコピーでも変化があると思います。マーケティングだけではなく、発明王のエジソンにも有名な逸話があります。

電球を発明する際に問題だったのはフィラメントだったわけですが、数千種の材料を試したそうです。そうやって実験した結果、京都の竹の炭が光って、しかも長持ちしたとのことです。その実験の途中に友人が「そんなに多くの実験をやってもだめなら、もう電球はできないのだよ。失敗なんだからあきらめたらどうだね」と言われたそうです。その時のエジソンの答えは「確かに数千種類もの材料を試しているが、それは失敗なのではないんだよ。試している材料がフィラメントに向いていないことを明らかにしているだけなんだよ。この実験を続けていればその材料を見つけられるのさ」と答えたそうです。

また、先日TV番組で「ガンの検診を尿で簡単にできる」ということを特集していました。現在、尿でガンを発見すること自体は線虫という無害の極小の虫を利用して臭いの変化を活用し実用化しているそうです。しかし、そのガンはどこの部位のガンかは分かりません。そこで、どこの部位のガンか分かるようにするための研究が行われているそうです。犬が嗅覚でガンを発見することは知られていますが、その犬による検査も結果的には臭いの違いで発見する仕組みだそうです。その臭いの種類が1200種ほどあるそうで、その臭いを選別すればどの部位のガンかを特定できるそうですが、それはエジソンのフィラメントの発明と同様に大変な道のりのようです。しかしながら、大きな成功を収めるためにはそうした試す努力が重要なのだと筆者も共感します。冒頭文の見たり、聞いたり、試したりの最後の言葉、「試したり」は事例でご紹介したように医学、物理学、ビジネス、教育などどのような分野でも重要なものだと思います。