さくらニュース 18年 4月号 競争心2

2018年5月18日 / さくらニュース

競争心とモチベーション 2

前回は競争手法を具体的に述べました。今回は筆者が一次卸の営業部長だった時代の経験を述べます。筆者は卸先の特約店さんの営業マン向けに年2回、3か月間の販売キャンペーンを行っていました。その具体策として、毎週実績をグラフにしてランキングをキャンペーンニュース(略CPN)として各店にFAX送信したのです。筆者がその方法を行うまで、各店の営業マンは、それまで競争環境がなかったため、CPNを新鮮に感じ、驚いたようです。
そのグラフは各店にポスターとして張り出され、各店の社長や事務関係社員らにも見られました。彼らは社内で営業マン以外からも励まされたり、関心を持たれました。
中にはA4のFAX用紙をA3に拡大して壁に貼る特約店もありました。他の販促策として営業マン向け集合研修も年4回ほど行っていましたので、各店の営業マン相互にコミュニケーションがとれていました。そうすると研修時には誰が1位で2位3位の順位は誰?いい意味での火花が散ることも多くありました。さらにCPNには筆者からのコメントも入れ楽しんでもらえるようにしました。
このようなニュースはありきたりの内容ですと、読んでもらえません。筆者はそれではつまらないと思い、面白いコメントを工夫して載せました。それらのコメントの例は(筆者自身のコメントではなく営業マン相互の仮想(ホラ)のやり取りとして載せます)「Aさんのコメント:Kさん今1位のようですが、私は今多くの見込み客を抱えているので来週は私が1位ですよ」「Bさんのコメント:キャンペーンの最終結果は僕が1位になっていることが目に見えています」などです。
日本人は一般的にウソのコメントを言ったり書いたりしませんが、筆者は勝手にウソコメントを書いていました。しかしこのような架空コメントも本音では半分くらい当たっており、営業マン相互は気にしていました。それで彼らはCPNを見るのを楽しみにしていたのです。キャンペーン終了後には仙台近郊の温泉リゾートホテルで表彰式を行い、相互に営業成果をたたえ合うような環境も作りました。そのときに営業マンは「部長は勝手なウソを書いて俺なんか社内で持ち上げられたり、へこまされたりで参っていますよ。だけど、ウソ情報でも、どういうわけか、やる気にはつながっていますね」というような意見が大半でした。各店相互には別々な会社です。共通の商品を扱っているだけの別々の会社ですが、同じ会社の社員より相互に仲がいいという営業マンも多くいました。すべての営業マンがCPNのコメントに乗ってくれるわけではなかったのですが、多くの営業マンは競争心を発揮していました。

競争環境を作ることは個々人の成長を促すためにも重要なことと思います。