さくらニュース 20年 9月号 利他即自利

2020年9月7日 / さくらニュース

利他即自利(りたそくじり)

この言葉は筆者が今までの人生で一番大切にしている言葉です。菩提寺の和尚さんに教えてもらった言葉ですが、その意味を説明してもらったときは、これは素晴らしいと感動を覚えました。この意味は利益を他人に与えることは即ち自分の利益になるという意味です。一般的にビジネスでは自分の商品・サービスで顧客に満足してもらう利益を与え、自分はお金と言う利益を得るわけです。このことを等価交換(同じ価値を交換する)と呼ぶこともあります。この考え方も利他即自利の一面ですが、和尚さんが説明して下さったのはもう一つの一面でした。そしてそれが筆者の人生を変えたことでした。どのようなことかを解説しましょう。それは筆者が飛び込み営業を主体としたコピー機の営業マンの時代でした。筆者の会社の営業所では営業仲間で流行っていたのが手紙営業でした。初めて名刺交換させていただいた御礼状、商談の礼状、アポの礼状、デモ約束の礼状、デモ実施の礼状、契約締結の礼状、各々商談の機会ごとに文面のモデルを作り、手書きの手紙を出していました。この手紙手法はやっている人においては顧客からの反応は非常によく、手紙を出した顧客と出さない顧客では非常に明らかな反応の違いがありました。ここで話の整理をします。手紙を出す努力をして、その努力の結果として顧客の反応が良い方向に変化するという流れができたわけです。ここまでの流れで「利他即自利」が理解できると思います。顧客は手紙をもらって気分がいいという利益を得て営業マンサイドは商談が進むという利益を得るという考えです。しかし、ここからの考え方がすごいのです。顧客の反応が良かれ悪しかれ、自分で手紙を書くという行為自体が自分の利益になるという考え方が「利他即自利」なのです。どういうことかといえば、手紙を書けば文章力の成長という利益になるからです。また、単なる文章力ではなく、相手を動かす文章力、感動させる文章力が向上するのです。その考え方を教わってから筆者はより一層手紙だけではなくその他の営業手法に大いに努力をしました。それらは顧客に対する行為は、それが効果がある無しに関わらず自分の利益になると確信したからです。例えば、既存客に花束を買って持参するような場合にも花束を選択すること自体が花の名前を覚えたり、センスを磨いたりする自分の利益だとする考え方が身に付きました。また、相手のためと思ってもその行動が失敗することもあります。それはそれとして失敗から学ぶという利益もあるわけです。ですから「利他即自利」の真の意味を知ってからは超積極的になりました。