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さくらニュース 18年 12月号 徹底的に考える

2019年1月7日 / さくらニュース

目標とモチベーション

目標管理制度は多くの中小企業でも導入され、制度としては浸透しているかもしれません。これはロック&レイサムの理論が提唱されたものです。ただ、多くの中小企業では目標が必要だからというだけで目標を作っていて形骸化しているのではないでしょうか。つまり、重要なことが抜け落ちていると思うのです。目標設定には必要な4つの要素があるからです。それは

  1. 「目標の困難度」
  2. 「目標の具体性」
  3. 「目標の受容」
  4. 「フィードバック」です。以上を少し解説します。
  1. 「目標の困難度」は、困難であるものの達成可能

な目標がより自己効力感を発揮させやすいことに基づく要件です。難しすぎず、簡単すぎない、なんとか達成できるような困難度の目標が、努力を継続させ、それに伴って業績を生み出しやすいと考えられています。②「目標の具体性」は、それが達成できるかどうか、また自身の進捗や成果を実感できるよう、数値や期間などで具体的に示される必要があります。これが「目標の具体性」です。困難度があまりに低い、または高すぎる目標ではないか(困難度の欠落)特に企画部門において、進捗が管理しにくい具体性のない目標になっていないか(具体性の欠落)従業員自らが意志をもって設定した目標ではなく、上長の指示によって書かされた目標になっていないか。③「目標の受容」は設定した目標をメンバーが納得していること。④「フィードバック」は日常の進捗状況の確認が行われているか。今や汎用的なモチベーション施策とも言える目標管理ですが、その進め方に誤りがあっては意味を成しません。

トップや人事部門としては、今一度、各部署で行われている目標設定をチェックする必要があるかもしれません。筆者が見て慢性的な目標未達の会社・個人へのアドバイスですが、例えば、いつも月間目標の50-60%ぐらいしか達成していない営業マンの目標をいつまでもそのままにしている組織があったりします。それは問題です。その際は人によって目標を変え、個別に頑張れば達成できそうな目標にすること。それが達成できたら目標アップ。そうしないと上の人も当人も達成できなくて当たり前という雰囲気が出て、目標自体に意味がなくなります。そうすると他のメンバーとの公平性を欠くという反論が出そうです。それについては、目標に意味を持たせる必要があります。担当地域、職種、経験年数、役職、仕事の難易度、その他の条件によって目標を変えることです。まずはトップが全体の目標を決める意思を持つことが重要です。そして、その組織のメンバーも含め話し合って個々の目標を決めることが重要です。それは簡単ではありません。意見の言えない人もいるでしょう。そこは上司のリーダーシップが必要になります。

さくらニュース 18年 11月号 モチベーション

2019年1月7日 / さくらニュース

「見える化」でモチベーション?

モチベーションの10の法則の代表的理論の中に「テイラーの科学的管理法」というものがあります。アメリカのテイラーという学者は業務を明確にするため、まず工場内の作業を細かく分析しました。そして、それぞれにかかる時間をストップウォッチで計測する「時間研究」と、多数いる機械工の中でも特に熟練の人材の動きを観察し、効率的に作業を進めるための「動作研究」を実施します。これらの研究結果をもとに、一つ一つの作業内容や手順をマニュアル化し(標準化)、全工程を「見える化」することが、テイラー・システムとも呼ばれる科学的管理法です。つまり「見える化」で組織のモチベーション・アップが可能になります。営業でも経理事務・総務・配送でも相互に納期や目標に対して現状の進捗状況を表示、現状は遅れているからもっと頑張らなければと意識します。あるいは各工程のムリ、ムラ、ムダなどをグラフで表示するなどのことを行えばうちの部門は暇だから忙しい部門を手伝おうなどという気持ちになります。少なくとも日本人は他者とのチームワークを重視しますので、他者が困っていたら助けようという気持ちがあります。他者が困っている状況、溜まっている状態が分かれば協力しようという行動になるものです。問題(他者が困っている状況)はそれが分からなければ仕方ないのですが、分かれば、つまり見える化すれば協力するのです。また、営業の仕事であればあくまで営業マン自身の中で、顧客の個別の営業進捗状況が把握されているのが普通です。しかしながら、それらの進捗状況も「見える化」されて上司も周りからもどの程度進んでいるか分かれば、周りからの適切なアドバイスも可能となります。それだけではなく、営業マン自身も客観的に自分の仕事を見ることができるので、具体策を立てやすくなります。例えば、キーマンは誰なのか、会っているのか。

キーマンは問題点を解決しようとしているのか。デモは行っているか。こちら側の上司の同行訪問はしたか。提案書は説明しているか。関係部署には訪問しているか。担当者はニーズを認識しているか。予算はあるのか。等々を「見える化」していれば、自ずと次に行うべきことがセルフチェックで分かるというものです。営業マンの顧客の進捗状況の全情報の「見える化」は無理だと思いますが、重点客のみを「見える化」は可能だと思いますし、そうした一部の情報をPCで共有しグループ全員でチェックしあうのもいいことではないかと思います。今回のこの項の後半では営業部門中心に具体的に説明しましたが、前述のようにどの部門でも「見える化」は可能ですので実践してはいかがでしょうか。

さくらニュース 18年 10月号 モチベーション・アップ

2019年1月7日 / さくらニュース

モチベーション・アップ

日産を引き継いだ当時のカルロス・ゴーン社長は経営者にとって一番大切なことは社員のモチベーションをアップさせることだと言いました。他にも経営トップとして時代の流れを読み、自社の戦略を策定することやトップの人事など重要なことが多くあるはずです。そんな中、社員のモチベーション・アップが一番重要だと言い切ったのでした。そして、社長になったゴーン氏は社員のモチベーションを高め、初年度から日産を黒字に導いてきました。会社の歴史上、未曽有の赤字を出していた日産をなぜ初年度から黒字にできたのでしょうか。メディアなどで言われていたことは、系列などの日本的経営の「しがらみ」を排除したこと。これは日本人経営者には不可能だった、という論調がありました。これも肯定される意見の一つでしょう。筆者はそれよりも何よりも社員のモチベーションを重視したからだと思います。その一つは社長になる前の準備にあると思っています。報道によれば社長を引き受けるにあたって、過去の根深い問題点などを完全に断ち切っていたというのです。例えば、生産性の低い工場の売却、前述の系列の排除、不要資産の売却等々です。社長になる前の準備期間にこれらのことを行いました。よって、極端なことを言えば、社長になったときは、すでに誰が社長になっても黒字に転換できるというような改革を行っていたというのが筆者の考え方です。ですから、ゴーン氏が社長になり赤字から黒字に転換したことで社員はこの人の下なら頑張ろうということになったと思います。

だからモチベーションが上がったというわけです。このゴーン氏の取った行動、つまり、モチベーション・アップの対策を日本の一般中小企業の幹部が見習うためには、どのようなことを考えればいいでしょうか。筆者は思うのですが、このリーダーについて行けば目標達成できると部下に思わせることがポイントではないかと思います。それは仮に高い目標であってもメンバーに「達成できそうだ」と思わせるようにするということが重要です。営業部門を例にとって説明しましょう。当然単に「高い目標だが頑張って達成しよう」とかけ声だけかけても無意味です。リーダーはこの目標達成のために今までは行っていなかった次のような例の具体策を展開しますと宣言。

①販促策として展示会を行い集客し会社全体で営業部門をバックアップ。②上司の同行訪問を前期比120%アップ。③既存顧客に対してキャンペーンを打ち、買い替えの際に特別の特典を付けます。等々です 再度付け加えますが、メンバーが「これなら目標達成できそうだ」と思わせるような具体策でなければ意味はありません。

さくらニュース 18年 9月号 問題から逃げない

2018年10月29日 / さくらニュース

問題から逃げない

このタイトルは筆者が人生の師とする尊敬するお寺の住職から教えられた言葉です。問題と闘わなくてもいいから問題の場に立っていなさい、と教えられたのは30歳くらいの時でした。たまたまその時代、自分が営業して成約したコピー機の調子が悪く紙詰まりが多発して、お客様からクレームがあり対応していました。その機械は社内的には問題の不調な機種でした。サービスマンは修理に何度も訪問していましたが、それでもなかなか調子よく動いてはくれませんでした。筆者は営業担当として最初に謝りに伺いましたが、何回も続いたので顧客から文句を言われるのにうんざりという逃げたい気持ちでいました。普通だったら他の営業活動にも時間的に支障をきたすので、呼ばれなければその顧客には訪問しないのですが、住職から教えられた「問題から逃げない」という言葉が心にありました。その言葉がなければその顧客に積極的には訪問しなかったでしょう。その言葉のお陰で、ある意味積極的に怒られに行きました。その結果、その顧客に訪問したサービスマンから「お宅の機械は調子悪いが営業マンの態度はさすがだ」と言われてきたと筆者に報告がありました。もし、筆者がそのクレームの顧客に積極的に訪問していなかったら、顧客はキャンセルするとか、筆者はもっと面倒くさい対応を迫られることになったと思います。何回もその顧客に訪問するなど時間がとられ効率的には足を引っ張られましたが、筆者の逃げない行動は正解だったと思います。

他の個人的な相談で行った消費生活センターでのことです。筆者にある業者との個人的契約トラブルがありました。
そのときの相談で次のような話がありました。 筆者が問題なく正しいと思いましたので、相談員の方に業者側とは裁判になっても構わないと伝えました。そうすると相談員の方は「そう言っていただくと当方(センター側)も強く出られるので対処しやすい」と言ってくれました。そこで相手側に「知人に弁護士がいるので相談したところそちら側が訴えるのであれば、受けて立ちます」と伝えました。その結果、問題なく筆者側に被害が及ぶことなく問題が解決しました。一般的に消費者は裁判と言われると躊躇することが多く、泣き寝入りしてしまうことが多いのだそうです。この件も問題から逃げない姿勢で解決することができたと思います。暴力団関係の組織などとのトラブルも、弱い一般人は逃げてしまい、払わなくてもいいお金を払うと次々と脅してくるとのことでした。そういうトラブルがあっても警察に相談し正面から問題解決の対応をすることで、相手側が面倒くさがって追いかけてこなくなると聞きます。ビジネスでもそういう反社会的な組織との問題解決は逃げない方がいいようです。

さくらニュース 18年 8月号 ハインリッヒの法則

2018年8月27日 / さくらニュース

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則とは一人の事故死が出る職場では29人のけが人が出ており、さらに300件の「ヒヤリハット事故」(けがなどにはならないが危険な事故)があるというものです。逆に言うと「ヒヤリハット事故」をできるだけ少なくすればけがや死者を出す事故を防ぐことができるわけです。

建設業界では安全分野での大きな常識となっています。工事現場で「安全第一」のスローガンが良く掲示されていますが、品質や効率よりも優先するので、安全が第一、トランプ大統領の「アメリカンファースト」ではなく「セフティーファースト」なのです。これを参考に運転手の多い企業では「ヒヤリハット」を急ブレーキ・急ハンドルと考え、これを防げば大小の交通事故が防げるはずという考えを持っています。この考え方を建設や運転の二つの仕事以外にも取り入れてみませんか?

例えば、営業や店頭販売にもということです。クレームについて考えてみましょう。大クレームは個人はもちろんチームや会社にとっても大きな金銭的損失、メンタル的な損失です。大クレームではなく、通常のクレームでもそれなりの損失が出ます。大クレームと通常のクレームとはお客様からの通知があってのことと定義したとすれば、潜在的クレームもあります。お客様はクレームは言わないものの心の中では「もうこの店には来ないぞ」と思われてしまうクレームです。これを防げば大クレームや通常クレームも防ぐことができるでしょう。

つまり前述の「ヒヤリハット」です。それをどうすれば察知できるか? 一般的にアンケートがその手段の一つです。ただ、小規模企業でアンケートなどやったことのない会社では、いきなりアンケートと言っても簡単には書いてくれません。よって、書いてくれたお客様にお礼の品などを差し上げるとよいでしょう。併せてその他の対策も考えましょう。例えば、クレームを言ってくれたお客様を重要視し、潜在クレームを言ってくれるよう促すのです。実際にこんな例もあります。レストランで異物混入のクレームを申し出たお客様に、「当店ではクレームを言ってくださったお客様には住所などをご記入いただいております」と言って店長がクレーム報告を記入。そして別にご自宅を訪問しお詫びの粗品などを持参します。そこでお詫びをしたのちに「弊社では顧客満足を重視しており、できるだけクレームの無い運営を心掛けています。つきましては言葉には出さないような小さなクレームであっても、今後どうか店長に申し出ていただければ有り難いのです」と。クレームの顧客を優良顧客にしてしまうのです。このような手法をとるかどうか別にしてハインリッヒの法則を重視して潜在クレームを見つけ顧客満足重視の経営を目指していきましょう。

さくらニュース 18年 7月号 教えない教え方

2018年8月27日 / さくらニュース

教えない教え方

このテーマは特に部下を持つような立場になったら心がけることを述べます。筆者も勘違いしていましたが、筆者が30代初めに営業係長になりはじめて部下を持った時のことです。筆者は皆に一生懸命頑張って働いている後ろ姿を見せること、いわゆる「率先垂範」ということを特に意識していました。

初めてリーダーになる人はこのタイプの人が多いようです。もちろん率先垂範は重要ですが、部下とのコミュニケーション、モチベーションに配慮することを重視すべきです。ただ単に率先垂範で頑張っていると部下から見れば「自分のためにだけ頑張っているんだ」と映ることがあります。上司(リーダー)に期待されることは自分の成績は当然ですが、部下を通してチームの業績を上げることです。ですから部下育成を重視することがポイントです。

そのポイントの一つは「教えない教え方」です。これはどういうことでしょうか?「教えない教え方」とは部下の行動を自分自身で考えさせることです。特に、なぜその行動が必要なのかという理由を納得させ、理解させることです。

では具体的にどういうことなのか。新人クラスなら、お客様に挨拶がきちんとできない社員がいたとします。この場合、上司がだらしない挨拶と、きちんとした挨拶をしてみせ、どのように感じるかを質問する。そして部下に挨拶をさせてみる。それでも直らない場合はスマホのビデオなどで本人の動作を見せて確認させる。そしてどのような動作をしたらよいかを練習させる。新人クラスは考えさせるより教える部分が多くても良いと思います。しかし中堅クラスのレベルであれば何か問題の質問があったとき、上司に解決策の案があったとしても「その問題はどういう解決策があると思う?」と質問して考えさせます。時間があれば3つ4つ解決策を書かせて持参させることがいいと思います。大きな問題の時は問題の環境、過去の事例やデータを調べさせることが重要です。そこまでできない場合でも「1の解決策のメリット・デメリットは?」同様に「2・3のものも同様に質問します。その上で「君はどの解決策がいいと思う?」とまた、考えさせる質問します。一般的に上司自身が解決策の答えを持っていると、面倒くさいのですぐに答えを教えてしまうことが多いものです。教えてしまえば上司も部下も簡単に効率よく問題解決ができますが、両者ともに成長しません。とにかく、部下から質問が出たときは部下育成のチャンスだと思い、逆に「君はどうしたらいいと思う?」と自分の解決策を考えて質問するようにと教えることが重要です。そうして上司部下双方が成長できるような環境を作りましょう。

さくらニュース 18年 6月号 変化のスピード (1)

2018年6月8日 / さくらニュース

変化のスピード一段とギアアップ

企業を取り巻く環境変化のスピードがかつてなく早くなっています。特に中国の科学的な進歩は目を見張ります。中国は昨年の国際特許の件数が日本を抜いて2位になったとのことです。数年後には米国を抜いて1位になるだろうと言われています。なぜ中国が特許の出願件数が多いのだと思いますか。つい最近まで日本やアメリカのキャラクターのパクリを作って遊園地のマスコットにし日本人からヒンシュクをかったりしていたのにもかかわらず・・・。

それは当然、国家を上げて研究開発に力を入れている側面があろうかと思います。しかしながらそれだけではなく、失敗を恐れない中国特有の開発文化風土があると言われています。中国は自由主義とは言えない社会のため、人権や人命をあまり重視しない開発を行えるというのです。例えば、何かを開発したときに試作品を作り、世に出すときに人権や人命、健康を重視せずに出せてしまうということがあるというものです。例をいうと自動運転車など試作品を作るとき、多少の安全性は軽視してもとにかく短期間で作る。それで仮に事故があっても、国家として重大な案件だと問題視しない社会なのだと言われています。同じ事故でも、日本やアメリカであればかなり長い時間をかけ安全性を担保してから最終製品になるのだと思います。中国は短期間に開発し問題が出たらそれをクリアしてまたちゃんとした良い製品を作る。それでまた問題が出たら、また、やり直す、と言うことを繰り返す。
このように開発すれば確かに開発スピードは速くなると思います。医薬、医療、交通など人命、人権に関わるような産業の開発では特に中国は有利になるでしょう。とても顕著な事例ですが、最近アメリカの自動運転の試作車が一般道で死亡事故を起こし、しばらくの間、数社の自動運転車メーカーは試運転をしないとの報道がありました。このような事故があっても中国では関係なく実験を続けるでしょう。こう考えると同じ商品を開発する期間は半分くらいになると思います。
日本の企業でも中国と同じようにとは言えません。ただ、このことを意識してスピードアップしていくべきでしょう。製造業に限らず、販売においてもテストマーケティングを短期化、簡略化する。権限を委譲してより現場に近い社員に任せ、失敗は歓迎という風土を作る。失敗を繰り返しながらスピードアップさせて良い商品、スピード感あるマーケティングをする。稟議書のようなものも決済金額を部下に任せる。稟議の期間を大幅に短縮し、例えば3週間ぐらいかかっていたものなら一週間で結論を出せる仕組みにする。スクラップアンドビルドを重視する社風にする。そうしたことにより国際化だけでなく、国内の競争環境にも勝って行くようにできるでしょう。

さくらニュース 18年 5月号 非営業職の目標値

2018年5月18日 / さくらニュース

非営業職の数値目標

ビジネスで目標が重要なことは誰でも知っているのではないかと思います。前回、前々回に競争心とモチベーションで述べたように、他者との競争に勝ちたいという思いは多くの人にあると思います。適切な数値目標があれば達成したいと思うのは人間として自然でしょう。ところが、営業以外の仕事では目標を作るのは無理だと考えるリーダーが多いようです。
総務事務、研究開発、経理、企画、人事、等々の業務は確かに数値目標が立てにくいでしょう。しかし、達成感などのモチベーションは重要であることは明らかなので数値目標は立てたほうがいいのは間違いないでしょう。非営業職の目標は立てられないとあきらめないで、直接の目標値ではなく、代用の目標値でもいいと思いますので考えてみて下さい。例えば、人事の採用の仕事であれば、人数と言うことになります。ただ、採用する人が誰でもいいということではなく、筆記テストで合格点以上の採用人数など、ある程度質を考慮した上での人数と言うことになります。
総務事務職では月次決算の納期を目標値にする。自分の書類の記入ミス件数、事務を経由する書類、つまり他部門の書類ミス件数の削減。総務では社内のコミュニケーションの促進などが求められていますので社内誌の発行や社員のアンケートによる社内誌の満足度調査を目標値にすることも考えられます。目標値について過去の経緯をみると、例えば、それまでは食品の甘さを計ることはできませんでしたが、糖度計を作りました。また、食品メーカーは料理については味を計る計器を作りました。このような計器を発明する前は何人かの人が試食したりして決められていましたから、代用の目標値を作ればいいのではないかと思います。

その他にも接客・電話対応なども目標を数値化しにくいものですが、それぞれコンテストなどを開催するなどの工夫をしている会社も多くあります。そうした会社ではそれがあるためにモチベーションが上がっています。筆者が行っていた社員教育の講師という仕事も受講者アンケートの評価、リピートオーダー数などが目標値でした。

さらに重要なのは今まで示した結果的な目標値をどのように達成するかというプロセスの目標値も重要なことです。例えば、特定の研修会に参加、練習回数、関連ビデオを視聴する、本を読む、というようなことです。結果目標とプロセス目標を設定し、上司としては月一程度でその達成状況をチェックすれば、本人としてもやりがいが出るでしょうし、その目標値を達成すれば評価する。そうすれば達成感もでるでしょう。そうしたことにより人間的な成長も図れるということになります。非営業職でも目標値を作成し、社員の成長と業績の両立を目指しましょう。

さくらニュース 18年 4月号 競争心2

2018年5月18日 / さくらニュース

競争心とモチベーション 2

前回は競争手法を具体的に述べました。今回は筆者が一次卸の営業部長だった時代の経験を述べます。筆者は卸先の特約店さんの営業マン向けに年2回、3か月間の販売キャンペーンを行っていました。その具体策として、毎週実績をグラフにしてランキングをキャンペーンニュース(略CPN)として各店にFAX送信したのです。筆者がその方法を行うまで、各店の営業マンは、それまで競争環境がなかったため、CPNを新鮮に感じ、驚いたようです。
そのグラフは各店にポスターとして張り出され、各店の社長や事務関係社員らにも見られました。彼らは社内で営業マン以外からも励まされたり、関心を持たれました。
中にはA4のFAX用紙をA3に拡大して壁に貼る特約店もありました。他の販促策として営業マン向け集合研修も年4回ほど行っていましたので、各店の営業マン相互にコミュニケーションがとれていました。そうすると研修時には誰が1位で2位3位の順位は誰?いい意味での火花が散ることも多くありました。さらにCPNには筆者からのコメントも入れ楽しんでもらえるようにしました。
このようなニュースはありきたりの内容ですと、読んでもらえません。筆者はそれではつまらないと思い、面白いコメントを工夫して載せました。それらのコメントの例は(筆者自身のコメントではなく営業マン相互の仮想(ホラ)のやり取りとして載せます)「Aさんのコメント:Kさん今1位のようですが、私は今多くの見込み客を抱えているので来週は私が1位ですよ」「Bさんのコメント:キャンペーンの最終結果は僕が1位になっていることが目に見えています」などです。
日本人は一般的にウソのコメントを言ったり書いたりしませんが、筆者は勝手にウソコメントを書いていました。しかしこのような架空コメントも本音では半分くらい当たっており、営業マン相互は気にしていました。それで彼らはCPNを見るのを楽しみにしていたのです。キャンペーン終了後には仙台近郊の温泉リゾートホテルで表彰式を行い、相互に営業成果をたたえ合うような環境も作りました。そのときに営業マンは「部長は勝手なウソを書いて俺なんか社内で持ち上げられたり、へこまされたりで参っていますよ。だけど、ウソ情報でも、どういうわけか、やる気にはつながっていますね」というような意見が大半でした。各店相互には別々な会社です。共通の商品を扱っているだけの別々の会社ですが、同じ会社の社員より相互に仲がいいという営業マンも多くいました。すべての営業マンがCPNのコメントに乗ってくれるわけではなかったのですが、多くの営業マンは競争心を発揮していました。

競争環境を作ることは個々人の成長を促すためにも重要なことと思います。

さくらニュース 18年 2月号 自分を逆境の中に 

2018年2月9日 / さくらニュース

やらざるを得ない環境に自分を追い込む

前にお伝えした筆者がサラリーマン時代ベトナムで、米軍を相手にしたビジネス経験を述べます。
会社のベトナム赴任選考試験が主に英会話能力だったので、ある程度の英会話能力は持っていました。それは日本で1年間英会話学校に通っていたからです。しかしながら、その程度の英会話力では、アメリカ人にはまだまだ通じませんでした。当時の筆者の仕事はコピー機のサービスエンジニア。お客様は米軍で、仕事は故障修理。訪問時に故障の現象が起こっていればいいのです。しかし、英会話能力が低いと困るのは、たまに起こる故障です。故障の現象がどのような故障なのかお客様の英語を良く聞き取らないと仕事になりません。それだけではなく、お客様とのコミュニケーションはとても重要です。それで、ベトナム赴任中も英会話の勉強をしました。日本で英会話学校に通っていた時以上に勉強しました。仕事から寮に帰ったあとの夜、個人で英語のテキストで勉強、昼は昼で仕事中にアメリカ人との仕事の会話の中でも実践勉強しました。それは日本国内で勉強した英会話の100倍位の勉強量だったと思います。
この二つの勉強は本当に役立ちました。これは「やらざるを得ない」環境だったから頑張れたと思います。このように自分をやらざるを得ない環境に追い込むことは自分を大きく成長させるポイントではないかと思います。この英会話の勉強以外の事例でいいと思うのは次のような事例です。筆者のその後のキャリアは営業が中心でした。その環境の中、30歳前後の時、今後の立ち位置を考えると、その半期(6か月)以後でどうしても通常実績の130%ほどの実績を残さなければならないと考えました。そうしないとサラリーマン人生で悔いを残すと思ったのです。そこで筆者のいた営業所のキックオフイベントがあったとき舞台に上がり、100人ぐらいの社員の前で次のように大きな声で宣言しました。「私はこの半期私に期待されている目標数字の130%を必ずやります。皆さんこの半期の私の実績に注目していてください」と。筆者は大見得を切ったのです。筆者の当時の仕事は新規開拓営業でした。宣言通りの実績を残せるような根拠があるわけもないのに、このような宣言をしたのです。
皆さんにご理解いただけると思うのですが、大変なことを皆の前で宣言したわけです。そしてその半期宣言通りの結果を出しました。この半期は通常の150%ぐらいの努力をしました。以上二つの事例は「自分をやらざるを得ない環境に追い込んだから達成できた」と思うのです。