さくらニュース 20年 4月号 他者を幸福に

2020年5月7日 / さくらニュース

周りの人を幸福にすると自分も幸福に

利他即自利という仏教の言葉があります。筆者が若かったころ、お寺に月2回程通って仏教のことを坐禅を中心に学んでいました。その頃教えていただいた言葉です。例えば、最近日本のあちこちで災害があったときにボランティアの活躍が報道されています。そのボランティアの皆さんが口をそろえて言う言葉は「自分の方が勉強になりました」「私の方が励まされました」と言うような言葉でした。もちろん被災した方々は喜んだのですがボランティアの方々も喜んだのです。こうした例が利他即自利、つまり利益を他者に与えることは自分の利益でもある、と言うことです。筆者がお寺通いをしていたころ、家族でよく行った中華屋さんがリフォームで数日の休業後、再開した時に1500円ほどの鉢植えの花をお祝いに持参しましたところ、オーナーから「お客様からお祝いを頂いたのは初めてです」と大変喜ばれました。その後2週間ほどしてまたその店に行ったとき、お返しはブランドのタオルが準備されており「あのお祝のお返しです」とのこと。それは5000円以上するものでした。贈ったもの以上のお返しを頂いた訳でした。これも他人を喜ばせると自分も喜ぶという例です。別の例ですが、筆者がコピー機の営業の仕事をしていた時、受注した際にお礼の手紙を必ず書いていました。最初は単に決まった例文のままに書いていましたが、書き慣れるとそのままでは物足りずに、受注までの経緯や初めての面談の印象、感動したことを書いたりしました。そうすると明らかにお客様の反応が変わり、紹介が増えたり2台目を受注したりしました。ということでお礼状でお客様に喜んでいただくだけではなく、私の利益にもつながったのです。さらにさらに、もっともっと素晴らしいことはこの手紙を書く仕事は文章の内容自体が良い印象、感動したことを書く文章能力の向上という利益も得られたのです。実はこの行動が「利他即自利」の本物の利益です。何を言いたいかというと相手からの「見返りがある利益」、つまり筆者の営業の手紙での利益はお客様からの受注、あるいはご紹介につながったりするものでした。これはこれでもいいのですが、その見返りがある場合とない場合があります。(手紙を書いた方がその見返りが出る可能性は全然違うのですが)しかしながら、文章力の向上と言う利益は必ず100%身に着く利益と言っていいものです。筆者がそういう営業手法をとり、文章力を身に着けたことで雑誌の連載は3誌、その他個別に載せた記事は5誌、最終的には自著の出版までできました。是非、読者の皆様にこの「利他即自利」の意味の深い所を理解するだけではなく、行動に移すことをお勧めしたいと思います。

さくらニュース 20年 3月号 難しい仕事を簡単に

2020年5月7日 / さくらニュース

難しい仕事を簡単にする工夫

筆者はその昔水商売のスナックでホステスさん向けにビジネスレターのセミナーを行ったことがあります。当然そのお店のオーナーママさんからの依頼でした。ママさんは筆者の指導でホステス時代に手紙でお客様のリピート来店に大成功したからです。ママさんからホステスさんがお客様に出す手紙の指導をして欲しいとのことでした。そこで筆者が指導したのは①初めての来店のお客様向けの文章例②2回目の来店の文章例③その他プレゼントを頂いた場合の文章例等などほぼ5例を書き写すだけで完成する手紙の文章を紹介し、そのまま書き写してもらいました。ただ単に書き写すのであれば、書くことにそれほど多くの時間がかからないということで計測しました。慣れれば便箋2枚程度で10-15分で完成しました。その他には特別に印象的なファッション(良いデザインのネクタイを褒める文章例、例えばイブ・サンローランのネクタイが素敵だと思いました。)(お客様とのOOのトークが楽しかったです。)(流行のOOカットのヘアスタイルが素敵でした。)などを指導しました。また、すべて手紙は手書きにさせました。そうでないと普通のDMのように感じさせるからです。しかし、このように指導してもなかなか習慣的に手紙を書くようにならなかったそうです。それは、彼女たちが常識的な漢字の半分程度しか知らなかったこと、文章が難しいからとのことだったそうです。そこでママさんは工夫しました。文章の挨拶文と中間の文章を10例ほど作成。前述のファッションを褒める、会話を褒める、感動した話の例文の単語を入れ込んで作り、末尾の文章を作成すれば手紙が完成するようにシステム化しました。また、新規ご来店のお客様は即日に手紙を出す例文、2週間のご無沙汰の例文、1カ月ご無沙汰の例文、などもシステム化しました。これらの文章はほとんど、書き写すだけで完成します。この手紙の効果は抜群だったそうです。結果がでるので彼女たちは競うようにして手紙を出すようになったそうです。また数カ月たつと多くの手紙を出すようになった彼女たちは、例文を暗記し、例文を見なくても手紙を書けるようになったそうです。(単に読むだけでなく、書くと記憶力は格段に上がります)これらの営業的な手紙の手法は間違いなく、効果は非常に大きいので、スナック以外の一般企業の営業手法にそのまま応用することが可能です。是非、試してみていただきたいと思っています。このように難しい仕事を簡単にできるようにすることが非常に重要です。他の業種や難しいと思われている仕事もこの手法での応用が可能ではないでしょうか。

さくらニュース 20年 2月号 ツールでコミュニケーション

2020年5月7日 / さくらニュース

道具(ツール)でコミュニケーション

来店されるお客様や自分から訪問する際にもちょっとしたツールで楽しませ、親近感をつくる方法があります。特に元々の性格が奥手の人や若い人に向いていると思います。具体的な手法をご紹介しましょう。一つはウエルカムボードです。応接室や商談コーナー、ショールームのテーブルの上などにブックスタンドぐらいのボードを置きます。そこには「OO会社□◇様 ようこそお待ちしておりました。雨の中のご来訪心より歓迎いたします」こんなボードがあったらお客様はびっくりし喜ぶと思いませんか。アポがある訪問の場合、簡単なことだと思います。訪問する際のツールとしてはビックリ飴(薬の袋を真似たもの)のツールはいかがでしょうか。A4三つ折りサイズの封筒の半分ぐらいの中に飴を3つほど入れます。その袋の表に能書きのような文書を貼ります。その一例として各地域の方言を活用します。お金がたまるんだっ茶飴(用法1)日銀支店にお百度参りをするんだっちゃ(ただし巡査の職質がある(用法2)仙台四郎を毎日拝むんだっちゃ(用法3)お金を使いたくなったら飴をなめるんだっちゃそうすればお金を使うのをがまんできるんだっちゃ(用法4)お金はためてもいいがストレスはだめだっちゃ(処方)タカソクリニック。このようなノベルティー(販促品)を差し上げれば一気にお客様との心理的な距離が短くなること間違いなしです。いわゆる一流企業での活用は難しいかもしれませんが、中小企業では問題ないと思います。この薬を真似た方法の別な応用例として「媚薬(即効ほれ薬)飴」「チューしたくなる飴」「賄賂(ワイロ)飴」などがあります。別なツールとして電卓手品があります。電卓に1を入力しそれを相手に渡し、「続けて2345678と入力してください」と言います。電卓の表示は12435678ですね。その電卓を自分で受け取り相手に見せながら「トントントン」と言い少し振って見せると「あれ!81234567と8が一番先になってしまいました」とビックリさせます。このネタは事前に電卓に68888889(6と9の間に8を6個)入力。そこに+1と入力する。そうすると電卓の表示は1だけです。この状態で相手に電卓を渡して2345678と入力してもらう。この時の表示は12345678それを受け取って相手に分からないように「トントントン」と言いながら=か+のキーを親指で軽く押さえます。そうすると81234567となります。スマホではキー配列の関係でちょっとやりにくいので電卓を持っていた方が良いと思います。手品のようなものは相手がタネを聞きたくなるのでコミュニケーションがとりやすくなり、話題が盛り上がります。名刺サイズのカードにネタを書いたものを差し上げるとなおよいでしょう。

さくらニュース 20年 1月号 個人のビジョン

2020年5月7日 / さくらニュース

個人別のビジョンを示す

数年前のことですが、筆者が海外にも販路のある中小企業と関わり営業コンサルをしていました。その際、上司とのコミュニケーションが良い女性の営業担当であるAさんと個人面談をしました。

筆者が「上司の方との信頼関係が良いようですが、どのような点を特に信頼しているのですか」と質問をしたところ彼女は「以前、上司から今の仕事で実績を出してもらうという前提ではあるものの「君の希望と一致するならば将来は東南アジアの海外市場開拓の仕事で活躍してもらえると有り難いと思っている。そうすればあなたの得意な英語の能力も生かせるのではないかな?」と言ってもらえて非常に嬉しかったと話してくれました。

また、営業マンのBさんは同様の個人面談で上司からAさんと同じく現在の仕事で結果を出す、本人の希望と合致するという前提で「近い将来にうちが進出しようと思っているIT分野のエキスパートになってもらえたら嬉しい。特に現状の社内ITシステムを営業だけではなく、経理、人事、総務、つまり全社を横断するようなシステムを作ってほしい。ある程度軌道に乗ったら部下としてITエンジニアも付けたいと思っている。」と言われた事を話してくれました。筆者はその上司が素晴らしいマネージメントをしているので改めてその上司と面談して前述の二人のことを話題にしました。そうすると上司は「正直なところ彼らとの面談は意識してモチベーションが上がるようにやっています。このように個人のビジョンを示すことはいいことだと思ってやっています。もちろん社長にもそのあたりの話はしています。また、以前読んだあるマネージメントの本に会社自体にもビジョンは大切だが、社員個々人のビジョンも大切ということが書かれており。私もその考えに共感してやっています」と言っていました。続けてその彼は「自分のメンバーに対するビジョンを伝えるなら私自身のビジョンも重要です。自分のビジョンは将来的には今のチームの営業部門長だけではなく、全社の営業部門長になってより大きな仕事をしたいと思っています。」と話してくれました。その会社自体のビジョンの中には「社員個々人を尊重し、個人の成長が会社全体の成長に発展する」というような一文があり、社長は少しずつその芽が出ているように感じていると言っていました。近いうち全社大会を開催し、個人のビジョンのプレゼン大会を開催し全社のモチベーションを高めたいとのことでした。有名な孫子の兵法は組織に勢いある空気を作ることが重要だということを言っています。組織全体が重要なのは間違いないわけですが、組織を構成しているのは個人です。個人のモチベーションを高める工夫をこの事例に学んではいかがでしょうか。

さくらニュース 19年  12月号 やる気ある人から順番に

2019年12月16日 / さくらニュース

やる気ある人から育成を

組織の中でも優秀な人とそうでない人がいるのが普通です。テーマの「やる気…」を営業部門での例でご説明します。普通リーダーは実績が劣る人Bさんに着目しその人の実績を引き上げようと頑張るのが普通だと思います。しかしながら、それは徒労に終わることが多いようです。リーダーからすればBさんを引き上げれば自分のチーム全体の実績が上がると考えます。ところがBさんからすると「俺がだめだからリーダーが怒っている」と考えているケースが多いのです。Bさんは劣等感を持っているので変わること、成長することは簡単にはできにくいのです。それよりもいい手があります。チームの中でやる気ある人から順番に関わるという手法です。例えば、芸能界ではタレントを街中でスカウトする場合もあるようですが、公開オーディションを行いスカウトすることが多くあります。それで成功するタレントが多くいます。当然公開オーディションに応募するような人はやる気のある人と考えられます。その人はやる気があるので教えられることは覚えよう、行動しようと思うでしょう。やる気があるのかどうか分からない人を成長させるよりやる気ある人の方が簡単でしょう。また、一般的に低実績の社員を成長させる具体策は叱ることと同義語になっていることが多くマイナス言葉がチーム内で多く使われることが多くなりチーム内のモチベーションも上がりません。その点やる気ある人Aさんへの指導は叱るというような雰囲気にはなりにくくチーム内のモチベーションを下げるようなことにはなりにくいでしょう。

同じエネルギーをかけるなら伸びそうなAさんにかけたほうがいいと思いませんか。決してBさんを放っておくというのではなく、Aさんを重点的に指導するという方法です。筆者はあるお寺の和尚さんの説法を聞いたことがあります。お寺の池にはよく蓮(はす)の花が咲いていますが、お釈迦様は池の底の方の蓮の花を咲かそうとするのではなく、もうすぐ水面に出てきそうな花に手をかけ、咲かそうとするのだそうです。花が咲くというのは人間でいえば「悟り」を開くということです。伸びようとしている人、伸ばしやすい人から関わってゆくのです。Bさんタイプの人に手をかけないのではなく、後回しにするということです。そしてチーム全体が伸びてゆくとBさんタイプの人もチーム全体の雰囲気に飲まれます。Bさん自身が「このままの低実績ではまずいなあ、なんとかしなくちゃいけない」とモチベーションが上がったタイミングでリーダーが関わればいいのです。その他のことでもやりやすいことから始めるのがいいでしょう。

さくらニュース 19年 11月号 勇気

2019年11月5日 / さくらニュース

勇気と想像力とほんの少しのお金

これはチャップリンの言葉で、世界中で広まっている名言だそうです。正確には「人生で必要なのは勇気と想像力とほんの少しのお金」という言葉です。想像力も重要だと思いますが、ここでは勇気について考察してみたいと思います。ビジネス上で勇気はどのような場合に必要なのでしょうか。勇気とは自分が未経験のことをやってみる場合に必要なのではないでしょうか。筆者の場合だと営業マンになった時、初めての飛び込み訪問で全く見知らぬ場所の見知らぬ会社に訪問した時はかなりの勇気が必要でした。どのように断られるのか、また、どうすれば商品説明を聞いてもらえるのか。それより何より見知らぬ会社に訪問すること自体が恥ずかしかったです。これは恋愛経験にも似たような事柄ではないでしょうか。好きな女性がいて付き合いたいと思って告白するのに勇気が要りますね。なぜ勇気が必要かと言うと、断られたら恥ずかしいと思うからと言っていいのではないでしょうか。飛び込み訪問と異性に告白すること。このように現代においては勇気が必要とされるのは「恥ずかしさの克服」ではないでしょうか。これらを困難と呼ぶこともあるかと思いますが、困難はひと昔前の封建時代や北朝鮮のように命が危ないというようなことはないですね。命や体が危険でないならば恥ずかしさも困難もどうってことないのではないでしょうか。

筆者の経験からいえば飛び込み訪問の恥ずかしさは慣れてしまえば全然問題ないのです。飛び込み訪問はもう断られるのが当たり前なのです。皆さん日常の当たり前のことは恥ずかしいことではないと思いまよね。このように考えて勇気をもって新しいことにチャレンジしてみませんか。多くの場合、この恥ずかしい場面に直面することを失敗と呼ぶことが多いと思います。初回面談の失敗。これはもう何回もありましたので、時間がたつにつれ、全く恐れることはなくなりました。もう男性が女性に告白し断られる失敗、これは正直なところ、これは多くはないですが、何回かありました。このようなことを世間では「失敗を恐れぬ勇気をもって行動しよう」というと思います。柔道では最初にやる練習は「受け身」です。つまり、相手に投げられるときの練習、失敗したときの練習です。今どき、少なくともビジネスで、命や体に危害を加えられるというような場面はないと言えますので、恥ずかしさに耐えられるような心の準備をすれば失敗を恐れなくなるのではないでしょうか。具体的準備とは初回訪問に断られる想定で数種の断られ方を演じられるようなロープレをすればいいのではないでしょうか。

さくらニュース 19年 10月号 商品力と営業力

2019年11月5日 / さくらニュース

商品力と営業力

筆者はかつて産業給食弁当の会社の営業コンサルタントをしていました。その会社は工場や郊外の事務所などで社員食堂ではなく、お弁当を昼食にしているお客様に配達し、ビジネス展開をしています。多くの業種と同様に競合があり、営業マンが活動しています。その営業プロセスでは試食というイベントがあり一般的には食堂や会議室にお弁当を食べている社員が集合し試食が行われます。その場でアンケートを記入してもらいその職場でのお弁当を決定するのが一般的な営業手法です。その際重要になるのが、当然ですが美味しさと価格です。両方合わせて商品力だとします。その商品力と営業力について考えます。

どこの業界でも商品力が大きな要素を持っているなら市場を席捲できるはずです。しかし、そうはいかないのが現実です。筆者が営業コンサルに出向く前は「試食」というのは例えば、10人の職場であれば営業マンが10食分の弁当とアンケートを午前中に持参し、午後に弁当箱を回収し、担当者からアンケート結果を見せてもらい自社の弁当にしてもらえるかを聞きだす営業活動でした。このままですと美味しさと価格という商品力に頼り切った営業活動になってしまいます。この「試食」というイベントに営業力を活用しようという考え方をお伝えします。まずは、弁当箱一個毎に小さな封筒に入れる二つのメモを作りました。

一つの文章は簡単に言えば「試食と言うチャンスを与えていただき感謝申し上げます。弊社のお弁当のこだわりは…」というようなものです。もう一つのメモは営業マンの自己紹介で出身地・出身校・趣味など記載したものです。さらに食堂や会議室で召し上がるような職場では皆さんに食べる際にパンフレットを配り2-3分のご挨拶をさせていただきます。 その際にはコピーで簡単に作成できる「手品のようなもの」などをプレゼントしました。このように営業マンは試食というものは自分にとって重要なイベントなんです、という熱意を分かってもらえるような形にしたのです。このようなことが営業力です。弁当業界では競合との商品力がほぼ五分五分なのであれば30%が自社派30%が他社派、40%がどちらともいえない、というようなものです。ですから、どちらともいえないグループの40%を少しでも自社派にすればアンケート上で自社有利に導けます。この手法を用いてからは試食成功率は55%から80%に跳ね上がりました。このお弁当営業では複数の社員のアンケートという分かりやすい説明をしましたが、営業相手が個人相手の商品であっても心の中は自社のAか競合のBかの決心がふらついているものです。そこを工夫して営業力を使って勝つのです。

さくらニュース 19年 9月号 コミツールの選択

2019年9月5日 / さくらニュース

コミニュケーションツールの選択

ここでのコミュニケーションツール(以下コミツールと略す)とは口頭、電話、Eメール、FAX、紙のメモ、SNS、ハガキ、手書き封書、等々とします。 例えば、「OOをして下さったことを心より感謝申し上げます」という文言は前述の全部のコミツールで使用可能です。ただ、相手に対しての気持ちの伝わり方はどうでしょう、同じように伝わるでしょうか。筆者は同じように伝わるとは思っていません。筆者が指導していたいくつかのクライアントの有能な営業マンとワークショップがあり、その場で前述の感謝の言葉の気持ちの伝わり方と重さをランキングにしてみました。ランキングと重さは科学的な根拠はありません。あくまで、有能な営業マンのワークショップでの格付けです。

伝わり方の軽いほうから①電話1 ②口頭1 ③Eメール・SNS2 ④メモ3 ⑤手書きのハガキ3 ⑥手書きの手紙5、 となりました。(書く項目の数字は質的重さ)どうしてこうなるのかを議論しましたが、手書きのメッセージなどは手間と時間がかかっていることを人は無意識のうちに判断するからということで一致しました。また、この手間と時間は熱意とも比例する。つまり、手書きのハガキ・手紙は受け取った方は差出人に熱意を感じるということになりました。口頭なら表情や身振り手振り、語調(抑揚・声の大きさ・トーン)で熱意を表せるのにも関わらず、ハガキ・手紙の方が熱意を感じるという結論になりました。もう一つ重要なことは手書きのハガキ・手紙は他の人がほとんどやっていないことなので受け取った人は非常に大きな熱意や誠意を感じるからなのだろうということになりました。その後メンバーの一人の住宅販売の営業マンは競合していて、ここ一番という大きな契約をとるお客様に巻紙手紙を出したと言う経験談を話しました。それは時代劇やテレビ番組の「お宝鑑定団」などに出てくる長さ1メートルから3メートルぐらいの手紙、それを筆ペンで書いたとのことです。お客様をその手紙の長さでびっくりさせようと思い、字は大きく、行間を大きく開けて文章を書き、3・4メートルほどにしたとのことでした。普通の便せんなら2・3枚ほどの文章量だそうです。結果的にはそのお客様から受注できたとのことでした。そのお客様は彼に熱意を感じたし、誠意も感じて信用できたからとのことだったそうです。それ以後、大きな仕事でここ一番の時は巻紙手紙の手法を駆使しているとのことでした。コミュニケーションはその内容、言葉や文章もとても重要ですが、その伝え方、ツールも重要なポイントです。

さくらニュース 19年8月号 目標と計画

2019年8月28日 / さくらニュース

目的と目標と計画(PDCA)

仕事上の目標と計画の違いは何かが分からない方もおられるかもしれませんが、明確に違いがあります。もう一つ目標と目的の区別もはっきりさせないといけません。まずは仕事上の目的ですが、事務の方の仕事の目的は経理とか人事の業務を遂行することになります。目標とはいつまでに(仕事の納期・年月日)何を(仕事の内容)どのレベル(量・質をはっきりさせる)まで達成させるか、と言うことになります。事務系の仕事の計画は後述します。営業系の例は表現することが比較的簡単です。営業系の仕事の目的とは自社の商品・サービスを市場に売る事、目標はいつまでに売上げ(販売台数・利益・粗利など)をどのくらいのレベル(目標数字)まで達成するかということです。計画は例えば目標が年間の場合、一カ月ごとの売上げ額などを設定すること。この場合でも単に年間だから12等分するというのでは計画の質が良くありません。月によっては年末年始休暇・お盆休暇・5月の連休など実働日数が変化します。業種によっては売れるものに季節感が出るものもあるのでそれを考えながら月ごとに売り上げを割り振る必要があります。さらにはその重要な売り上げをどうやって上げるか、具体的な行動も計画する必要があります。その行動は例えば、訪問回数、DM発送数、SNSでの情報配信数、FACEBOOKでの友達の人数、提案書提出数、デモ数、試食会の回数、プレゼン回数、勉強会の回数などです。これらの計画を月間、週間、日々に配分し、計画することです。当然のことですが、月間目標も計画もそれぞれ数字で設定します。ですから「できるだけ頑張る」というような計画はないものと考える必要があります。なぜかというと計画と実績の差、達成できたかどうかをチェックする必要があるからです。「できるだけ頑張る」というような計画だったら客観的に達成できたかどうか分かりませんよね。さらには達成、未達成の原因を考え、対策も立案します。以上のようなことを報告書にして、部門別月度会議などを開催し検討するといいと思います。中小企業ではこのようなことを行っていない企業も多いと思います。ただ、いきなり実施しようと思っても、簡単にはいかないので慣れる必要があると思います。しかし、やっていくうちに慣れれば仕事の質が上がってくることに間違いはないでしょう。

事務系の仕事の目標と計画の例とは、目標は事務作業のマニュアルをいつまでに作成するか、計画は関係者との打ち合わせ回数やページ数のチェックということになります。このような計画によって部門や全体のレベルが上がります。

さくらニュース 19年7月号 試すことが重要

2019年7月5日 / さくらニュース

試すことが重要

人生は見たり、聞いたり、試したり、の三つの知恵でまとまっているが、世の中の技術者たちは見たり聞いたりばかりで一番重要な「試したり」をほとんどしていない。あらゆることが、失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を嫌うもんだから成功のチャンスも少ない。

本田宗一郎氏の言葉だ。「ん……」なるほどと思いました。深い言葉です。例えば、昔なら法人向け商品のDMで1000通発送したら受注率はどのくらいになるか。そのDMを出したのは企業向けか? どのような業界向けに出したのか?、企業規模はどの程度の従業員数なのか?、きっとこのような方法でそういうことを試してみたらそれなりに受注率は変わってくると思います。さらにはそのDMのコンテンツもキャッチコピーでも変化があると思います。マーケティングだけではなく、発明王のエジソンにも有名な逸話があります。

電球を発明する際に問題だったのはフィラメントだったわけですが、数千種の材料を試したそうです。そうやって実験した結果、京都の竹の炭が光って、しかも長持ちしたとのことです。その実験の途中に友人が「そんなに多くの実験をやってもだめなら、もう電球はできないのだよ。失敗なんだからあきらめたらどうだね」と言われたそうです。その時のエジソンの答えは「確かに数千種類もの材料を試しているが、それは失敗なのではないんだよ。試している材料がフィラメントに向いていないことを明らかにしているだけなんだよ。この実験を続けていればその材料を見つけられるのさ」と答えたそうです。

また、先日TV番組で「ガンの検診を尿で簡単にできる」ということを特集していました。現在、尿でガンを発見すること自体は線虫という無害の極小の虫を利用して臭いの変化を活用し実用化しているそうです。しかし、そのガンはどこの部位のガンかは分かりません。そこで、どこの部位のガンか分かるようにするための研究が行われているそうです。犬が嗅覚でガンを発見することは知られていますが、その犬による検査も結果的には臭いの違いで発見する仕組みだそうです。その臭いの種類が1200種ほどあるそうで、その臭いを選別すればどの部位のガンかを特定できるそうですが、それはエジソンのフィラメントの発明と同様に大変な道のりのようです。しかしながら、大きな成功を収めるためにはそうした試す努力が重要なのだと筆者も共感します。冒頭文の見たり、聞いたり、試したりの最後の言葉、「試したり」は事例でご紹介したように医学、物理学、ビジネス、教育などどのような分野でも重要なものだと思います。