さくらニュース 19年 6月号 千手観音

2019年6月17日 / さくらニュース

千手観音の意味

千手観音とは観音様で手と目もたくさんある仏様です。

この仏様は多くの手と目で我々を見て救ってくださるという教えなのだそうです。仏様でも自分から助かろうという者を助けると言う意味ではキリスト(神は自らたすくるものをたすく)と同じなのではないかと思います。つまり仏様は窮地に陥ったときに努力をして何とかしようとする人を助けようとするのだと思います。

少なくとも順序は努力する人を先に助けようとすると思うのです。ですから、筆者は千手観音の意味はもう一つ積極的なことにあるのではないかと思います。つまり、手法はいくつもあるのですよ、という教えだと思います。

古い仏典を見たらそういう教えがあるかもしれません。この教えは一つのことを成就するためには一つの手法でやってみてダメだったら他の方法でやってみようという考えです。

例えば、自社で扱う違う分野の新商品を売り込もうとする場合に、既存の顧客に直接説明したが、受け入れられないときに、それだけで売れないと決めつけないでいただきたいと思うのです。B2Bビジネス(企業間取引)の場合「相手業界を変えてみる」「企業規模を変えてみる」「販売対象地域を変えてみる」「販売対象層を変えてみる」「販売手法を変えてみる(例 あえて旧式のDM、NET販売、SNS活用、セミナー形式販売)など」「販売ロットを変える」「広告手法を変える」「キャッチコピーを変える」「価格を変える」元々このような手法を部門で話し合い、どの程度の数があるのかを設定しておき、チェックして一つ一つを試してみることをお勧めします。

営業手法のことを例にお伝えしましたが、製造方法、事務作業などの改善手法でも同じことといっていいでしょう。これらの生産性が低いと思ったら、まずは現状分析をし、どのようなことに時間がかかっているか、作業員に質問なり、アンケートで煩雑な工程を聞いてみるのが良いと思います。「器具、冶具を変える」「仕入先の選択を、部門間のコミュニケーション、販売手法以外でも相当数の改善手法があると思います。ビジネスだけではなく「量(数)より質」と言われていますが、質の追求は口で言うほど簡単なことではなく、むしろ「量が質を作る」と言い変えたほうがいいと思います。販売手法の所で出したキャッチコピーの件ですが、広告代理店などでは一つのキャッチコピーを作るのに数百以上のキャッチコピーを作り、その中から選択してCMに載せているのです。数をこなすことは、それだけでも問題点を探すことになるので、筆者の考える千手観音の意味でもあります。

さくらニュース 19年 5月号 仕事・人生の勉強

2019年5月7日 / さくらニュース

仕事・人生の勉強

標題の勉強と言うと辛い、嫌なものと思う人も多いのではないかと思います。昔の筆者はそう思いました。しかし、その後の人生経験でそうは思わなくなりました。

勉強というとまずは読書ということが第一に想定されるのではないでしょうか。これはこれで重要なことだと思います。特に読書が好きな人はこれで勉強するのが重要なことだと思いますが、筆者は有能な人に会うという(勉強方法というより)啓発方法をお勧めしたいと思います。やる気ある人と接するという勉強方法です。以下のような逸話があります。

サワラとカマスという魚がいます。サワラはカマスが大好物ですぐ食べようとします。そこで、水槽の中をガラスで二つに仕切り、一匹のサワラと数匹のカマスを別々に水槽に入れます。サワラがカマスを食べようとしてもガラスにぶつかり食べられません。しばらくすると、サワラはあきらめてカマスを食べようとはしなくなります。サワラが食べようとするのをあきらめた頃を見計らってガラスを引き抜いても、サワラはカマスを食べようとはしません。さて、もう一度サワラにカマスを食べるように仕向けるにはどのようにしたら良いでしょうか。ちょっと考えてみて下さい。その答えはこの飼い慣らしたサワラの水槽にもう一匹の野生のサワラを入れるのです。そうすると野生のサワラはすぐにカマスを食べようとします。先にいたサワラは心の中で、「俺にも食えるんじゃないか」と思うかもしれません。魚が本当にそう思うかどうかは分かりませんが、この心理を活用するのです。簡単に言うとやる気ある人と付き合うのが大事と言うことです。やる気のある人は発想が違います。普通の人が考えて「こういう問題があるから問題解決は無理だよ」と否定的な考え方になりますが、やる気ある人は「確かに問題はあることに間違いないが、どうすれば解決できるかを考えよう」ということになります。やる気ある人と接していると、そういう人の考え方に近づきます。そうすると徐々に常に前向きの考え方になります。ただし、やる気ある人はそう多くはありません。

サラリーマンで社員自体のレベルが高い会社、低い会社があります。また、自分の会社、グループが客観的にレベルが高いか低いか見極めが簡単ではありません。そのときは社外の人と付き合うことをお勧めしたいと思います。地域の社外の人、例えば趣味のグループ、スポーツのグループ、異業種交流会などを探して入会するのも手です。ただし、そこでもレベルの高い人とそうではない人がいるのでコミュニケーションを取りレベルの高い人と付き合うことをお勧めしたいと思います。つまり、やる気ある人を選んで付き合うことが大事だということです。

さくらニュース 19年 4月号 勢いを作る

2019年4月12日 / さくらニュース

勢いに乗る・勢いを作る

孫子の兵法に「勢に求め、兵に求めず」という格言があります。特に将(リーダー)向けの格言ですが、一般向けにも役立つ言葉だと思います。チームの前向きな雰囲気を作り、個人攻撃をするな。要はチームのモチベーションを発揮維持するということです。では具体的にどのようにすればいいのでしょうか。

リーダーであれば弱気にならない。強気、明るい雰囲気作り、前向きな態度行動をとる。さらに具体的に言えば、何かキャンペーンや強化月間のような場合、職場に強気、前向きなポスターを貼る。パソコンの壁紙にもポスター同様のものを使用する。毎日の朝礼でのスピーチ発表者は元気、勇気の出ることのみに限定する。しかし、そういう雰囲気の無い職場では最初からプラスの話題は難しいでしょうが、慣れてくると見つかるものです。例えば、前年同時期のデータから今期の良いデータを探す。他部門の良い話題を探る。新聞やNET、雑誌などから明るい話題を見つける。朝礼だけではなく定例会議でも同様にプラス思考の話題を重点的に取り上げる。注意叱責しなければならないような場合はなるべく別室で個人的にするなどです。

また、リーダーは笑顔を意識しましょう。仮に自分が落ち込んでいても表情態度は元気に強気に振る舞い、意識して声も大きくする。このように姿勢や形を作り心をコントロールすることを「形即心(形は即ち心を作る)」あるいは「形入(ぎょうにゅう・形から入る)」といいます。このように他者を元気づけようとすることで自分も元気になるものです。自分自身で元気、勇気、自信を持とうとする場合、例えば車の中で大きな声を出し「私は今日の目標OOは必ず達成する」「私の仕事OOは必ずうまくいく」と何回も発声する。何回もと言いましたが、10回などと自分で決めたほうがいいでしょう。これをやったことがない人は実際に本当にやってみていただきたいと思います。効果ありますよ。なんか宗教的と思われがちですが、言われてやるのではない訳ですから問題ないでしょう。それから自分で瞑想の時間を作り仕事がうまくいったイメージを想うといいでしょう。例えばお客様との商談の場で契約書にサインしてもらうイメージや表彰式でトロフィーをもらっているイメージなどです。さらには前にもお伝えしたことですが、社内社外のやる気のある人と付き合うこと。そういう人の発言は元気をもらえるはずですので落ち込んだ時、あるいは定期的に会って話をするといいでしょう。そのような場合には自分でも意識して愚痴などをこぼさないようにしましょう。勢いに乗る、作るは理屈ではなく、感情なので上手にコントロールしましょう。

さくらニュース 19年 3月号 変わるものと変わらないもの

2019年3月7日 / さくらニュース

変わるものと変わらないもの

よく言われることに時代が変わったからビジネスも変えなければならないと。果たしてそうでしょうか。もちろん時代はIT時代に突入し、その先と言うべきAI時代も近づき、確かに時代は変わっています。しかし、変わらないことも多くあります。IT時代からAI時代に入ろうとしている現代、当然変わるものが多くあります。しかし、変わらないものも多くあります。これからAIの時代が進んでもでも変わらないものは何でしょうか。それは人の心が論理的な部分と感情的な部分であるとしたら論理的な部分は時代の変化で変わるとしても感情的な部分は変わらないということだと思います。少なくとも論理的な部分、つまりデジタル思考、IT思考は変わるが、アナログ思考では変わらないと思うのです。例えばコミュニケーションロボット、会話するロボットが既に開発されています。その会話について論理的な部分はロボットによって変化していくでしょう。現状、コールセンターの電話での問い合わせに応じるロボット、あるいはホテルなどの受付けロボットがありますが、それらの料金的な部分の問い合わせや使用方法の問い合わせはロボットでも対応可能だと思います。ただ、会話の中での感情的な部分、つまり思いやりとか同情する部分の会話などはAIでは弱い部分と言えるのではないかと思います。声のトーンとか話す速さ、声の高さ低さなどをコントロールするのはIT・AIでは簡単ではないと思います。しかし、これも簡単ではないだけで、人間は克服してゆくかもしれません。ただ、言えることはIT・AIのビッグデータを駆使してビジネスの意思決定、つまり戦略、戦術を策定することだと思います。仮にIT・AIが戦略の候補をいくつか選択したとして、それを採用する意思決定は人間だからです。今までは、こうした意思決定は経営トップがやってきたわけですので、これからも変わらないと思います。ただ、幹部クラスも今までより重要な意思決定に参加することになると思います。そうした意味では一般社員もIT化AI化に対応するためデータを読む力などを伸ばしていく必要があるでしょう。しかしながら、10年先を読むことは簡単ではありません。筆者の恥をさらしますと、今から20年ぐらい前にインターネットがこのように普及するとは夢にも思っていなかったですから。せいぜい人口の10%ぐらいの一部の人に利用される程度と思っていましいた。

変わるものと変わらないもの皆さんはどのように思いますか?

さくらニュース 19年 2月号 見返りを求めない

2019年3月7日 / さくらニュース

見返りを求めない手法が効果的

多くの人が無意識に見返りを求めてビジネスを進める傾向にあると思います。これを意識して見返りを求めずに進めていくといい方向に進む可能性が高くなります。どのようなことか具体的に説明しましょう。

車の販売店のショールームや住宅のモデルハウスの営業マンは来店されたお客様にアンケートを求めることがあります。アンケートは営業マン側に非常に大事な情報源です。見込み客になりそうな顧客の名前、住所、電話番号、購入検討時期などを記載してもらえれば非常に重要な見込み客リストになるからです。このアンケート記入を依頼する際に一般的に次のような言葉でお願いします。「このアンケートにご記入いただければこの記念品を差し上げます」ところがこれで記入していただける確率は10-30%ぐらいでしょうか。お客様は上記の情報を記載すると個人情報漏れや営業マンの訪問や電話を煩わしく思い、記入を敬遠します。この当たり前のような交換条件、アンケートと記念品の交換。これだと記入率が低くなってしまいます。これを次のように行います。それは先に記念品を渡してしまいます。「これは今日ご来場いただいた記念品です。どうぞお受け取り下さい。」と言って先に手に取らせて渡すのです。その後「大変恐縮ですがこのアンケートにご記入いただけないでしょうか」といいます。このような対応だと、お客様はさすがに「それならこれはお返しします」とは言いにくいでしょう。
このような対応だと記入率が大幅に上がり10-30%だった記入率が2―3倍となります。以前にもご紹介の事例ですが、リフォーム営業のH氏は趣味で軽自動車のオープンカーを持っています。彼は営業訪問の際、お客様の子供を乗せ、近所の広い道路で走り、風を切る体験をさせ、喜ばせることをします。ある意味「将を射んと欲さばまず馬を射よ」の行動をとっています。子供が喜ぶと親は営業マンに協力的になります。以上の二つの例は営業の場面のことでしたが、日常の社内での社員間、上司部下の間でのコミュニケーションでも同じことです。出張に行ったら簡単なお土産を買ってきてあげるとか、自宅で近所の方から何かをもらったおすそ分けするとか…。人によっては古臭い手法と感じるかも知れませんが、昔から人の感情として無意識で「借りができたら返さないといけない」と思うものです。そうすることによって相手も協力的となり、少しぐらいの難題に応えてくれる確率も高くなるというものです。もちろん誰でもがそう思うものではありませんが、人は相互に協力的になる確率が高いものです。

さくらニュース 19年 1月号 発想の転換

2019年1月8日 / さくらニュース

付き合う人を変えると発想が変わる?

とても単純な話ですが、先日友人と温泉に入ったとき、湯温が41℃もあり熱すぎては入れませんでした。しかし、その場所に、露天風呂はその熱い風呂しかなく、熱さだけのためにはあきらめるには残念でした。一方、友人はその風呂に入り「確かに熱いけどゆっくり我慢しながら体を動かさないように入れば気持ちいいよ」と言いました。筆者はそれを聞いて、その通りに入ってみると、何とか入ることができ、少し時間を置きながら出たり入ったり短時間でしたが、熱い、いい温泉を楽しめました。この時筆者が一人だったり、筆者と同じように熱くて入浴できないという友人だと結果としてはその露天風呂を楽しめなかったと思います。

この例は温泉の話でしたが、ビジネスでも同様のことが言えるのではないでしょうか。筆者がサラリーマン時代に営業係長だったころ、営業マネージメントが低迷していたことがありました。その時は全国に営業係長だけで100人ぐらいはいたと思います。筆者はその中で隣県の営業実績がコンスタントに良い係長数人を選んで、営業会議を見学させてもらうことにしました。その見学で気づいたことは、リーダーの個性によってチームはまったく違った雰囲気を醸成しているものなのだということでした。筆者の先輩A氏は非常に明るい性格で、会議の雰囲気も明るく進め、常に前向きでした。会議の見学が終り、彼に質問しました。「とてもいい雰囲気でしたが、営業成績が良くない時でも、あのような明るい雰囲気で営業会議を運営していると思います。そのコツは何ですか」と。そうすると先輩A氏は「いい質問だね」と言いながら次のように答えました。一つはリーダーはいつも明るく振舞っているべきだろう。笑顔で強気の言葉、行動、態度でいること。また、チーム全体の実績が良くないと全部がダメと感じてしまうが、そうではないはずだと思うこと。例えばうちにはメンバーが7人いるが、良くない実績の時でも全員が悪いということは少なく、いい実績のメンバーが一人ぐらいはいるものだ。その人に焦点を当て、成功事例を話してもらうとか、売れている業種は何か。売れている地域はどこか。売れている商品は何か。売れている営業活動や顧客別活動(例 DM,デモ中心、飛び込み、既存客中心、休眠客中心)は何か。とにかく、プラス面を考えるといいんじゃない」という、答。続けて孫子の言葉を紹介されました。「賢者の慮は利害の雑じう」賢い人の考え方は利害(プラス、マイナス)両面から物事を見る。マイナスの状況でもプラスの面はあるはずだから、そこに焦点を当てて考えてみる。ということを教えてもらいました。プラス思考のできる人と付き合うことが重要だと思います。

さくらニュース 18年 12月号 徹底的に考える

2019年1月7日 / さくらニュース

目標とモチベーション

目標管理制度は多くの中小企業でも導入され、制度としては浸透しているかもしれません。これはロック&レイサムの理論が提唱されたものです。ただ、多くの中小企業では目標が必要だからというだけで目標を作っていて形骸化しているのではないでしょうか。つまり、重要なことが抜け落ちていると思うのです。目標設定には必要な4つの要素があるからです。それは

  1. 「目標の困難度」
  2. 「目標の具体性」
  3. 「目標の受容」
  4. 「フィードバック」です。以上を少し解説します。
  1. 「目標の困難度」は、困難であるものの達成可能

な目標がより自己効力感を発揮させやすいことに基づく要件です。難しすぎず、簡単すぎない、なんとか達成できるような困難度の目標が、努力を継続させ、それに伴って業績を生み出しやすいと考えられています。②「目標の具体性」は、それが達成できるかどうか、また自身の進捗や成果を実感できるよう、数値や期間などで具体的に示される必要があります。これが「目標の具体性」です。困難度があまりに低い、または高すぎる目標ではないか(困難度の欠落)特に企画部門において、進捗が管理しにくい具体性のない目標になっていないか(具体性の欠落)従業員自らが意志をもって設定した目標ではなく、上長の指示によって書かされた目標になっていないか。③「目標の受容」は設定した目標をメンバーが納得していること。④「フィードバック」は日常の進捗状況の確認が行われているか。今や汎用的なモチベーション施策とも言える目標管理ですが、その進め方に誤りがあっては意味を成しません。

トップや人事部門としては、今一度、各部署で行われている目標設定をチェックする必要があるかもしれません。筆者が見て慢性的な目標未達の会社・個人へのアドバイスですが、例えば、いつも月間目標の50-60%ぐらいしか達成していない営業マンの目標をいつまでもそのままにしている組織があったりします。それは問題です。その際は人によって目標を変え、個別に頑張れば達成できそうな目標にすること。それが達成できたら目標アップ。そうしないと上の人も当人も達成できなくて当たり前という雰囲気が出て、目標自体に意味がなくなります。そうすると他のメンバーとの公平性を欠くという反論が出そうです。それについては、目標に意味を持たせる必要があります。担当地域、職種、経験年数、役職、仕事の難易度、その他の条件によって目標を変えることです。まずはトップが全体の目標を決める意思を持つことが重要です。そして、その組織のメンバーも含め話し合って個々の目標を決めることが重要です。それは簡単ではありません。意見の言えない人もいるでしょう。そこは上司のリーダーシップが必要になります。

さくらニュース 18年 11月号 モチベーション

2019年1月7日 / さくらニュース

「見える化」でモチベーション?

モチベーションの10の法則の代表的理論の中に「テイラーの科学的管理法」というものがあります。アメリカのテイラーという学者は業務を明確にするため、まず工場内の作業を細かく分析しました。そして、それぞれにかかる時間をストップウォッチで計測する「時間研究」と、多数いる機械工の中でも特に熟練の人材の動きを観察し、効率的に作業を進めるための「動作研究」を実施します。これらの研究結果をもとに、一つ一つの作業内容や手順をマニュアル化し(標準化)、全工程を「見える化」することが、テイラー・システムとも呼ばれる科学的管理法です。つまり「見える化」で組織のモチベーション・アップが可能になります。営業でも経理事務・総務・配送でも相互に納期や目標に対して現状の進捗状況を表示、現状は遅れているからもっと頑張らなければと意識します。あるいは各工程のムリ、ムラ、ムダなどをグラフで表示するなどのことを行えばうちの部門は暇だから忙しい部門を手伝おうなどという気持ちになります。少なくとも日本人は他者とのチームワークを重視しますので、他者が困っていたら助けようという気持ちがあります。他者が困っている状況、溜まっている状態が分かれば協力しようという行動になるものです。問題(他者が困っている状況)はそれが分からなければ仕方ないのですが、分かれば、つまり見える化すれば協力するのです。また、営業の仕事であればあくまで営業マン自身の中で、顧客の個別の営業進捗状況が把握されているのが普通です。しかしながら、それらの進捗状況も「見える化」されて上司も周りからもどの程度進んでいるか分かれば、周りからの適切なアドバイスも可能となります。それだけではなく、営業マン自身も客観的に自分の仕事を見ることができるので、具体策を立てやすくなります。例えば、キーマンは誰なのか、会っているのか。

キーマンは問題点を解決しようとしているのか。デモは行っているか。こちら側の上司の同行訪問はしたか。提案書は説明しているか。関係部署には訪問しているか。担当者はニーズを認識しているか。予算はあるのか。等々を「見える化」していれば、自ずと次に行うべきことがセルフチェックで分かるというものです。営業マンの顧客の進捗状況の全情報の「見える化」は無理だと思いますが、重点客のみを「見える化」は可能だと思いますし、そうした一部の情報をPCで共有しグループ全員でチェックしあうのもいいことではないかと思います。今回のこの項の後半では営業部門中心に具体的に説明しましたが、前述のようにどの部門でも「見える化」は可能ですので実践してはいかがでしょうか。

さくらニュース 18年 10月号 モチベーション・アップ

2019年1月7日 / さくらニュース

モチベーション・アップ

日産を引き継いだ当時のカルロス・ゴーン社長は経営者にとって一番大切なことは社員のモチベーションをアップさせることだと言いました。他にも経営トップとして時代の流れを読み、自社の戦略を策定することやトップの人事など重要なことが多くあるはずです。そんな中、社員のモチベーション・アップが一番重要だと言い切ったのでした。そして、社長になったゴーン氏は社員のモチベーションを高め、初年度から日産を黒字に導いてきました。会社の歴史上、未曽有の赤字を出していた日産をなぜ初年度から黒字にできたのでしょうか。メディアなどで言われていたことは、系列などの日本的経営の「しがらみ」を排除したこと。これは日本人経営者には不可能だった、という論調がありました。これも肯定される意見の一つでしょう。筆者はそれよりも何よりも社員のモチベーションを重視したからだと思います。その一つは社長になる前の準備にあると思っています。報道によれば社長を引き受けるにあたって、過去の根深い問題点などを完全に断ち切っていたというのです。例えば、生産性の低い工場の売却、前述の系列の排除、不要資産の売却等々です。社長になる前の準備期間にこれらのことを行いました。よって、極端なことを言えば、社長になったときは、すでに誰が社長になっても黒字に転換できるというような改革を行っていたというのが筆者の考え方です。ですから、ゴーン氏が社長になり赤字から黒字に転換したことで社員はこの人の下なら頑張ろうということになったと思います。

だからモチベーションが上がったというわけです。このゴーン氏の取った行動、つまり、モチベーション・アップの対策を日本の一般中小企業の幹部が見習うためには、どのようなことを考えればいいでしょうか。筆者は思うのですが、このリーダーについて行けば目標達成できると部下に思わせることがポイントではないかと思います。それは仮に高い目標であってもメンバーに「達成できそうだ」と思わせるようにするということが重要です。営業部門を例にとって説明しましょう。当然単に「高い目標だが頑張って達成しよう」とかけ声だけかけても無意味です。リーダーはこの目標達成のために今までは行っていなかった次のような例の具体策を展開しますと宣言。

①販促策として展示会を行い集客し会社全体で営業部門をバックアップ。②上司の同行訪問を前期比120%アップ。③既存顧客に対してキャンペーンを打ち、買い替えの際に特別の特典を付けます。等々です 再度付け加えますが、メンバーが「これなら目標達成できそうだ」と思わせるような具体策でなければ意味はありません。

さくらニュース 18年 9月号 問題から逃げない

2018年10月29日 / さくらニュース

問題から逃げない

このタイトルは筆者が人生の師とする尊敬するお寺の住職から教えられた言葉です。問題と闘わなくてもいいから問題の場に立っていなさい、と教えられたのは30歳くらいの時でした。たまたまその時代、自分が営業して成約したコピー機の調子が悪く紙詰まりが多発して、お客様からクレームがあり対応していました。その機械は社内的には問題の不調な機種でした。サービスマンは修理に何度も訪問していましたが、それでもなかなか調子よく動いてはくれませんでした。筆者は営業担当として最初に謝りに伺いましたが、何回も続いたので顧客から文句を言われるのにうんざりという逃げたい気持ちでいました。普通だったら他の営業活動にも時間的に支障をきたすので、呼ばれなければその顧客には訪問しないのですが、住職から教えられた「問題から逃げない」という言葉が心にありました。その言葉がなければその顧客に積極的には訪問しなかったでしょう。その言葉のお陰で、ある意味積極的に怒られに行きました。その結果、その顧客に訪問したサービスマンから「お宅の機械は調子悪いが営業マンの態度はさすがだ」と言われてきたと筆者に報告がありました。もし、筆者がそのクレームの顧客に積極的に訪問していなかったら、顧客はキャンセルするとか、筆者はもっと面倒くさい対応を迫られることになったと思います。何回もその顧客に訪問するなど時間がとられ効率的には足を引っ張られましたが、筆者の逃げない行動は正解だったと思います。

他の個人的な相談で行った消費生活センターでのことです。筆者にある業者との個人的契約トラブルがありました。
そのときの相談で次のような話がありました。 筆者が問題なく正しいと思いましたので、相談員の方に業者側とは裁判になっても構わないと伝えました。そうすると相談員の方は「そう言っていただくと当方(センター側)も強く出られるので対処しやすい」と言ってくれました。そこで相手側に「知人に弁護士がいるので相談したところそちら側が訴えるのであれば、受けて立ちます」と伝えました。その結果、問題なく筆者側に被害が及ぶことなく問題が解決しました。一般的に消費者は裁判と言われると躊躇することが多く、泣き寝入りしてしまうことが多いのだそうです。この件も問題から逃げない姿勢で解決することができたと思います。暴力団関係の組織などとのトラブルも、弱い一般人は逃げてしまい、払わなくてもいいお金を払うと次々と脅してくるとのことでした。そういうトラブルがあっても警察に相談し正面から問題解決の対応をすることで、相手側が面倒くさがって追いかけてこなくなると聞きます。ビジネスでもそういう反社会的な組織との問題解決は逃げない方がいいようです。