さくらニュース 16年 4月号  仕事は憂鬱か

2016年10月13日 / さくらニュース

仕事は楽しいか憂鬱(ゆううつ)か?

 

「憂鬱でなければ仕事じゃない」(見城徹氏著)この本は何年か前にベストセラーになりました。仕事は楽しくすべきだ、という風潮の中で逆のことを言っています。ただ筆者は表裏一体のものという感じがします。そもそもレベルの高い仕事は簡単ではなく、自分にとって簡単ではない仕事はうまくいかないのが普通です。仕事がうまくいかない時は憂鬱になります。憂鬱というのは、例えばクレーム処理や営業マンでいえば目標達成が困難な状況。他にも、納期に間に合いそうもない仕事をやっているときなどです。本の著者見城氏はこのような状況のときに読者を勇気づける本だと言っており、筆者も同意見です。困難な状況があるのは仕事として当たり前ですから憂鬱になります。そこから逃げずに立ち向かっていこう、ということです。誰だって困難な状況の中で頑張っていますよ、ということなので勇気が湧いてくると思いませんか。ただ、困難な状況を楽しくするにはどうしたらいいのかが重要ですね。あるコールセンターの話ですが、難しいクレーム処理を専門に行う特命チームがあるそうです。そのチームの人たちの手当ては一般の社員よりほんの少し良いだけで、その困難さに比べると手当ては割に合わない仕事だそうです。それでも社内公募すると応募者は出てきます。なぜだと思いますか?結論から言うとそれは仕事のやりがいということです。困難なクレーム処理は一般担当者から前述の特命グループ社員に交替します。その際の会話は社員教育のために室内のスピーカーで流され生の音声で他の社員と会話の状況を共有します。困難なクレーム対応は長時間になります。他の社員が長時間聞いていて、トイレや休憩に行き、帰ってきても、まだ延々と対応していることも多いそうです。しかし、最後にお客様が「よく分かった。納得した」と了解してくれて、電話が切られたときにはまわりの社員はスピーカーで聞いているので「良くやった」という意味で大きな拍手でたたえるそうです。そうした達成感が特命チームのやりがいだそうです。このようにスピーカーで流れている話を聞いた社員が感動し特命チームを希望することも多いそうです。筆者はこの具体的な話を聞く前は「ええ!なんでそのクレーム対応の仕事に希望する人がいるの?」と思いましたが、その話を聞いて納得しました。本当にどんな仕事でも意味あることですし、やりがいもあるんだなと思いました。困難な状況を乗り越えた時に人間的成長があるのですね。人には成長の欲求という欲もあるので、憂鬱という嫌な状況も前向きに受け入れるといいことがあるでしょう。