さくらニュース 16年 5月号 戦略と戦術1
2016年10月13日 / さくらニュース
仕事は戦略的に その1
戦略とはよく聞く言葉だと思いますが、的確に理解しているビジネスマンは多くないようです。重要な考え方なので解説しましょう。戦略とはある辞書によると「勝つための方策」となっています。当然これだけでは理解しにくいと思いますので具体例をいくつか示しましょう。日米が戦った太平洋戦争で日本は最初の真珠湾攻撃が奇策でした。米軍の太平洋艦隊の母港をつぶし真珠湾を使えなくすれば、米海軍とはしばらくの間は有利に戦えるという作戦でした。しかし勝利までの道筋は見えないというのが一般論です。逆に米軍は戦略として東京・大阪間を中心とした日本の工業地帯を爆撃すれば兵器が製造できなくなるので勝つ道筋がつけられると考えました。そこで戦術です。戦術とは戦略目標を達成するために、どのような戦い方をするのかという具体策です。米軍はその戦略つまり工業地帯を爆撃する戦術としてまず、日本本土を空爆するための基地を占拠することを考えました。そこでグアム・サイパン次に沖縄を攻略し本土攻略の空港を占領したのです。さらにはその空港からB29という爆撃機を使い日本本土を攻撃しました。B29は戦略爆撃機という呼ばれ方をしていますが、使い方は戦術という武器のことです。B29の特徴は1万Mの超高空を飛ぶので、当時の日本軍の戦闘機では対応できません。また、大型なので多くの爆弾を搭載可能、沖縄から日本本土までの長距離を飛ぶ事ができます。当時の日本はレーダーもないのでB29が飛んできたら目視で対応することになります。それでは1万Mの超高空まで戦闘機が上昇するには時間がかかりすぎるので超高度飛行に対応できません。高射砲は弾が届きません。このような戦略・戦術によって米軍は非常に有利に戦い、日本に勝ちました。このような戦略的考え方でビジネスの成功を考えるとどのようになるか考えてみましょう。IBMが日本に進出するときにとった戦略というのは、地方を攻める際は各地のトップ企業から攻略するということでした。地元中小企業は地元有名企業がコンピューターを導入したなら安心と思い自社も導入したのです。コンピューターという当時まだ知られていない高価な機械だったので、一般の企業が手を出すには大きな懸念がありました。成功事例を作るためにも地方の有名企業が導入して効果があったとすれば中小企業に広まるのも早かったでしょう。当然コンピューターを導入した具体的成功事例の効果をセールスポイントにしてプレゼンした事でしょう。その戦略は功を奏し成功しました。戦術はどうしたのでしょうか?これは筆者の想像ですが、中央で地方のボス企業に大きな影響を持つような大企業に社長の紹介を依頼したのではないでしょうか。その結果日本IBMは日本で大成功しました。