さくらニュース 17年 11月号 形から入る
2017年11月7日 / さくらニュース
形から入ること「形入(ぎょうにゅう)」
筆者は笑顔の出し方の研修講師を行うことがあります。受講者は店員の方や営業マンの方、旅館、医院のスタッフの方などです。その際、二人一組で向かい合い、お互い大きな声を出して無理して笑っていただきます。その演習をやっていただき、受講者に感想を求めると「無理して笑ったが、気持ちも大変おかしくなった。楽しくなった。」という声が聞かれます。そうです、身体(姿勢や態度)と言葉と気持ちは非常に密接に絡んでいます。姿勢や態度を作ると気持ち(心)まで変わっていきます。このことを証明するために別な事例からも解説しましょう。
やはり研修で受講者の皆さんに立っていただき「有り難うございました」と2種類の感謝のお辞儀をしてもらいます。最初は軽くちょこんと首だけ曲げるようなお辞儀で声を出してもらいます。2回目は腰から45度ほど深くまげて頭を上げるときはゆっくり上げてください、と伝えます。その後二つの動作をしているときの気持ちはどのようでしたか、と数人の受講者に聞きます。その答えは「二回目に深く曲げたお辞儀のほうが本当に感謝の気持ちが入ったように感じます」ということです。
仏教の教えで「形即心」(ぎょうそくしん)形が心を現す。という言葉がありますが、その通りです。心を明るくしようと思っても、心を込めて感謝をしようと思っても心を変えようとしても簡単ではないですよね。心は別にして、形(態度・姿勢)から入るのです。
他にも営業管理職研修の時、部下育成で困っていることの一つに部下の営業マンが自信のない態度でお客様に接するということが多くあります。筆者はそういう部下に「どのように接していますか?」と聞くと「もっと自信持って営業しろと言っているんですがねえ」とのことでした。大変失礼かもしれませんが、その程度の話し方で自信を持たせることができたら部下育成は本当に簡単ですよね。このような場面でも「形入」で行えばいいのです。
つまり心は別にしておいて形だけ自信がある態度にすればいいのです。他者から見て自信がある態度姿勢とは・背筋が伸びている・目線が相手の目を見ている・大きな声・笑顔のある表情・言葉が断定的でゆっくり、などが挙げられると思います。部下にこのような態度姿勢を練習させてそれを見てあげればいいのです。考えてみて下さい。スポーツなどはこの形から入ることがほとんどと言っていいのです。ゴルフも打つフォームから、剣道も柔道も形からですし、茶道なども同様です。心を重視する座禅でさえも座る姿勢を徹底的に教えられます。いろいろなことに形から入る「形即心」「形入」を導入しませんか。