さくらニュース 18年 10月号 モチベーション・アップ
2019年1月7日 / さくらニュース
モチベーション・アップ
日産を引き継いだ当時のカルロス・ゴーン社長は経営者にとって一番大切なことは社員のモチベーションをアップさせることだと言いました。他にも経営トップとして時代の流れを読み、自社の戦略を策定することやトップの人事など重要なことが多くあるはずです。そんな中、社員のモチベーション・アップが一番重要だと言い切ったのでした。そして、社長になったゴーン氏は社員のモチベーションを高め、初年度から日産を黒字に導いてきました。会社の歴史上、未曽有の赤字を出していた日産をなぜ初年度から黒字にできたのでしょうか。メディアなどで言われていたことは、系列などの日本的経営の「しがらみ」を排除したこと。これは日本人経営者には不可能だった、という論調がありました。これも肯定される意見の一つでしょう。筆者はそれよりも何よりも社員のモチベーションを重視したからだと思います。その一つは社長になる前の準備にあると思っています。報道によれば社長を引き受けるにあたって、過去の根深い問題点などを完全に断ち切っていたというのです。例えば、生産性の低い工場の売却、前述の系列の排除、不要資産の売却等々です。社長になる前の準備期間にこれらのことを行いました。よって、極端なことを言えば、社長になったときは、すでに誰が社長になっても黒字に転換できるというような改革を行っていたというのが筆者の考え方です。ですから、ゴーン氏が社長になり赤字から黒字に転換したことで社員はこの人の下なら頑張ろうということになったと思います。
だからモチベーションが上がったというわけです。このゴーン氏の取った行動、つまり、モチベーション・アップの対策を日本の一般中小企業の幹部が見習うためには、どのようなことを考えればいいでしょうか。筆者は思うのですが、このリーダーについて行けば目標達成できると部下に思わせることがポイントではないかと思います。それは仮に高い目標であってもメンバーに「達成できそうだ」と思わせるようにするということが重要です。営業部門を例にとって説明しましょう。当然単に「高い目標だが頑張って達成しよう」とかけ声だけかけても無意味です。リーダーはこの目標達成のために今までは行っていなかった次のような例の具体策を展開しますと宣言。
①販促策として展示会を行い集客し会社全体で営業部門をバックアップ。②上司の同行訪問を前期比120%アップ。③既存顧客に対してキャンペーンを打ち、買い替えの際に特別の特典を付けます。等々です 再度付け加えますが、メンバーが「これなら目標達成できそうだ」と思わせるような具体策でなければ意味はありません。