さくらニュース 19年 2月号 見返りを求めない

2019年3月7日 / さくらニュース

見返りを求めない手法が効果的

多くの人が無意識に見返りを求めてビジネスを進める傾向にあると思います。これを意識して見返りを求めずに進めていくといい方向に進む可能性が高くなります。どのようなことか具体的に説明しましょう。

車の販売店のショールームや住宅のモデルハウスの営業マンは来店されたお客様にアンケートを求めることがあります。アンケートは営業マン側に非常に大事な情報源です。見込み客になりそうな顧客の名前、住所、電話番号、購入検討時期などを記載してもらえれば非常に重要な見込み客リストになるからです。このアンケート記入を依頼する際に一般的に次のような言葉でお願いします。「このアンケートにご記入いただければこの記念品を差し上げます」ところがこれで記入していただける確率は10-30%ぐらいでしょうか。お客様は上記の情報を記載すると個人情報漏れや営業マンの訪問や電話を煩わしく思い、記入を敬遠します。この当たり前のような交換条件、アンケートと記念品の交換。これだと記入率が低くなってしまいます。これを次のように行います。それは先に記念品を渡してしまいます。「これは今日ご来場いただいた記念品です。どうぞお受け取り下さい。」と言って先に手に取らせて渡すのです。その後「大変恐縮ですがこのアンケートにご記入いただけないでしょうか」といいます。このような対応だと、お客様はさすがに「それならこれはお返しします」とは言いにくいでしょう。
このような対応だと記入率が大幅に上がり10-30%だった記入率が2―3倍となります。以前にもご紹介の事例ですが、リフォーム営業のH氏は趣味で軽自動車のオープンカーを持っています。彼は営業訪問の際、お客様の子供を乗せ、近所の広い道路で走り、風を切る体験をさせ、喜ばせることをします。ある意味「将を射んと欲さばまず馬を射よ」の行動をとっています。子供が喜ぶと親は営業マンに協力的になります。以上の二つの例は営業の場面のことでしたが、日常の社内での社員間、上司部下の間でのコミュニケーションでも同じことです。出張に行ったら簡単なお土産を買ってきてあげるとか、自宅で近所の方から何かをもらったおすそ分けするとか…。人によっては古臭い手法と感じるかも知れませんが、昔から人の感情として無意識で「借りができたら返さないといけない」と思うものです。そうすることによって相手も協力的となり、少しぐらいの難題に応えてくれる確率も高くなるというものです。もちろん誰でもがそう思うものではありませんが、人は相互に協力的になる確率が高いものです。