さくらニュース 20年 12月号 プロセス重視

2020年12月8日 / さくらニュース

貴社では結果がすべてですか?

特に中小企業経営では結果がすべてということを重視しているようです。確かに経営者は結果で評価されていますので、その言い分は理解できます。ただし、良い経営はプロセスを重視をしないと間違った経営になってしまうことを理解しておくべきだと思います。

昔、プロ野球球団の買収失敗で大きな話題になった当時ライブドア社長の堀江貴文氏が当時、ビジネス雑誌で「部下の評価」は結果がすべてということを言っていました。どのような人材を評価するのか、ということについて述べていたわけですが「要は結果を出す人を評価する」ということでした。このように、結果のみを重視するとコンプライアンアスや、プロセスを無視して、結果のみを出そうとする人が出てきてしまいます。まさに、日本郵政「かんぽ生命」のスキャンダルはこの問題の根本原因だと思います。また、筆者が所属していた大企業X社においても、10期連続のトップセールスがコンプライアンスを無視していたことが発覚し、全社的に大騒ぎになったことがありました。このように結果のみを追いかけると、自社の首を絞めることになり、世間から締め出され、存続さえも危なくなる可能性があります。

別な観点から結果とプロセスを考えてみましょう。昔のNHK「プロフェッショナル」の第一回の出演者、星野リゾートの星野社長は、会社更生法が適用になった多くのリゾートホテルなどの企業を再生しています。そうしたホテルの再建のポイントはプロセスを重視すること。例えば、非常に重要な決断であるはずの宿泊料金も社員のプロジェクトチームに任せています。社長自身はタッチせず、プロジェクトのメンバーに任せ、それを全社員の合意をとり、決定していました。その理由は経営は事前に、最高の結果というものは分からない、だから、結果を重視するのではなく、経営方針を決定するプロセスを重視するとのこと。つまり、社員が納得した方針であれば、言い換えると社員が方針決定というプロセスにかかわっているので社員も納得し、また、責任を持つものだ、という考え方をしています。筆者は素晴らしい考え方だと思いました。

このプロセス重視の考え方について、「うちの社員は考える能力が身についていない。育成するのに時間がかかる」という方がおられると思います。しかし星野社長は傾いたホテルに出向き、ほとんどスタート時からこのプロセス重視の手法を実施しています。それに「育成するのに時間がかかる」と言っていたら、いつになったら、社員に任せることができるようになると思うのでしょうか。