さくらニュース 20年 8月号 魅力を作る

2020年8月21日 / さくらニュース

自分の魅力を作ろう

自分の魅力とは何か? 筆者の尊敬する無能唱元氏(仏教作家)の「魅は与によって生じ、求によって滅す」(魅力は与えることによって生まれて増えて、求めることによって減る)という名言があります。人間的魅力を身に着けることはビジネスだけではなく、人生そのものを生き生きとしたものにするのに非常に重要なものだと思います。人間的魅力は他者の協力を得るのに重要ですし、営業能力、マネージメント能力にも大きな要素の一つです。その魅力は前述の無能氏によれば、天性のものではありません。魅力は与えることによって生まれて増えて、求めることによって減ってしまうということなのです。

具体的にご説明しましょう。筆者はサラリーマン時代の最後はコピー機販売の営業部長をしていました。担当特約店のある有能営業マンS氏と顧客に同行訪問をしたときのことです。(その顧客は各部門で7台稼働コピー機がありました)その顧客にコピー用紙を納品に行きました。普通の営業マンは受付に大量の用紙を納めて仕事は終わりなのですが、S氏はその紙を各部門に運んでいきました。(普通はその会社の各部門の担当者が会社の受付に用紙を取りに行き、自部門まで運んでいるのです)その結果、各部門の担当者と仲良くなりいろいろな情報を収集できました。例えば「うちの部門ではFAXとPCの導入を検討しています」というような情報です。このような情報はいうまでもなく事務機営業マンにとっては非常に重要です。さらには担当者の誕生日にはバースデーカードを持参、又は郵送したりしていました。このバースデーカードや用紙を運ぶことが筆者のいう「与える」ということなのです。もちろん彼はトップセールスでした。他の事例ですが山形の漬物など農産品通販の会社のご紹介です。そこでは受注があり送品する際に、近所の農家から「くずまゆ」(養蚕農家で使い物ならないまゆ)を3つポリ袋に「粗品」として入れて送っていました。その袋には「まゆ」が絹の材料であり、明治大正昭和の日本の主要産業だった説明書きが入っていました。また山形県名産で昔は金以上に価値があったとされる「紅花」の押し花を粗品として「まゆ」と同様に送っていました。もちろん価値ある紅花の説明書きを入れてです。このようなサービスが評判を呼び、顧客はその商品を自分で買うだけではなく、知人にギフトとして贈る際にその商品を選択するようになります。前者の事務機営業マンも農産品通販の社長もお客様に喜んでもらえる「与える」何かを常に考えていると言っていました。このような人が魅力を持っているということなのです。