さくらニュース 18年 6月号 変化のスピード (1)

2018年6月8日 / さくらニュース

変化のスピード一段とギアアップ

企業を取り巻く環境変化のスピードがかつてなく早くなっています。特に中国の科学的な進歩は目を見張ります。中国は昨年の国際特許の件数が日本を抜いて2位になったとのことです。数年後には米国を抜いて1位になるだろうと言われています。なぜ中国が特許の出願件数が多いのだと思いますか。つい最近まで日本やアメリカのキャラクターのパクリを作って遊園地のマスコットにし日本人からヒンシュクをかったりしていたのにもかかわらず・・・。

それは当然、国家を上げて研究開発に力を入れている側面があろうかと思います。しかしながらそれだけではなく、失敗を恐れない中国特有の開発文化風土があると言われています。中国は自由主義とは言えない社会のため、人権や人命をあまり重視しない開発を行えるというのです。例えば、何かを開発したときに試作品を作り、世に出すときに人権や人命、健康を重視せずに出せてしまうということがあるというものです。例をいうと自動運転車など試作品を作るとき、多少の安全性は軽視してもとにかく短期間で作る。それで仮に事故があっても、国家として重大な案件だと問題視しない社会なのだと言われています。同じ事故でも、日本やアメリカであればかなり長い時間をかけ安全性を担保してから最終製品になるのだと思います。中国は短期間に開発し問題が出たらそれをクリアしてまたちゃんとした良い製品を作る。それでまた問題が出たら、また、やり直す、と言うことを繰り返す。
このように開発すれば確かに開発スピードは速くなると思います。医薬、医療、交通など人命、人権に関わるような産業の開発では特に中国は有利になるでしょう。とても顕著な事例ですが、最近アメリカの自動運転の試作車が一般道で死亡事故を起こし、しばらくの間、数社の自動運転車メーカーは試運転をしないとの報道がありました。このような事故があっても中国では関係なく実験を続けるでしょう。こう考えると同じ商品を開発する期間は半分くらいになると思います。
日本の企業でも中国と同じようにとは言えません。ただ、このことを意識してスピードアップしていくべきでしょう。製造業に限らず、販売においてもテストマーケティングを短期化、簡略化する。権限を委譲してより現場に近い社員に任せ、失敗は歓迎という風土を作る。失敗を繰り返しながらスピードアップさせて良い商品、スピード感あるマーケティングをする。稟議書のようなものも決済金額を部下に任せる。稟議の期間を大幅に短縮し、例えば3週間ぐらいかかっていたものなら一週間で結論を出せる仕組みにする。スクラップアンドビルドを重視する社風にする。そうしたことにより国際化だけでなく、国内の競争環境にも勝って行くようにできるでしょう。