「2017年06月2日」の記事

さくらニュース 17年 6月号 チームの育成 

2017年6月2日 / さくらニュース

チームの育成

リーダーが自分のチームを育成することで悩むのは低業績のメンバーの育成です。そこで彼らを何とか育成しようと頑張ることが多いものです。筆者もコピー機の営業係長時代に低業績のメンバーを叱咤激励して頑張ったことがありました。新任営業係長に命ぜられ張り切っている私の係に6期連続目標未達成の営業マンF君が配属されてきました。筆者の会社は大手でしたので営業マンだけでも全国に500人以上いました。その中でF君は470位以下だったと思います。それでも筆者は彼をなんとか目標達成をさせようと思い頑張りました。当時部下は6人程いましたが、月間同行訪問数の70%、週間では3-4日は彼にピッタリついて同行訪問していました。顧客との同行面談では初訪問から再訪、持込デモ取(デモとはコピー機を試しに数日間使用していただくこと)提案、契約まで私が行いました。それは彼に学んでもらい能力を伸ばしてもらいたいと思ってのことでした。さらには彼が目標達成し、達成感を味わい自信をつけてもらいたかったからです。そして半期(6か月)が経過し、やっと目標達成し筆者も喜びました。ところが、彼はその半期だけで私の配属から外れ、隣の課に人事異動になりました。それでも筆者は彼が能力と自信を身に着け実績が伸びると思いました。しかしながら、現実はまた元通りの彼に、つまり、目標未達成の彼に戻ってしまいました。このことから筆者が何か学べたかと言えば全く学べていませんでした。ただ、分かったことは筆者との同行時、顧客と筆者との面談で、彼は営業スキルを全く学んでいませんでした。また、目標達成しても彼は全く自信を持っていなかったことです。今思えば、彼が自信を持てなかったことの理由は明白です。彼自身の能力・行動による実績ではなく筆者の能力だったからです。この件をどのように結論付けたらいいか悩みました。後日、本を読み、松下幸之助氏の言葉を聞き納得しました。「10人中2・3人は戦力にならない。それを覚悟で経営をしなければならない」と。つまり、打てば響くようなメンバーに重点的に注力するか、チーム全体に注力する。打って響かないメンバーには注力しない。しかしながら、戦力にならない社員はどうするのか、という疑問が沸いてきます。中小企業の経営者は「やる気のない奴は切ってしまえ」という方も多いようですが、切ってしまうと、残ったチーム内で新たに最下位になった営業マンの居心地が悪い雰囲気になります。そういう人は「次は俺が切られる番か」と不安になり、やる気もそがれます。よってチーム全体にやる気が出る仕組みや雰囲気を作り、課題に対して主体的に取り組むよう促すことがいいでしょう。