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さくらニュース 17年 12月号 夢の実現1

2017年12月4日 / さくらニュース

夢の実現 1

筆者はまだ若いサラリーマンのころ(20歳前後)一大決心をしました。それは25歳までに海外に行って生活しようという夢です。当時はまだ1ドル360円固定の時代でした。1967年ごろの話ですから、旅行を含め海外に行くことは、一般的ではありませんでした。そのような時代ですから一大決心というような言葉で表現してもおかしくないと思います。それも海外旅行ではなくて、生活しようということでした。生活ですから1年以上・なおかつ働くということです。そう決めても具体的に動かないと意味がないことです。まずは会社で海外赴任できれば一番いいわけです。しかし会社が行かせてくれなければ自費でも行こうと思いました。
そこでお金を貯めることにしました。当時月4万円ぐらいの給料だったと思いますが、25%の1万円貯金しました。それから海外生活で必要なことと言えば語学です。それで英会話を習うことにしました。当時週二回で月5000円ぐらいでした。具体的な行動はこの二つでした。この夢の実現は思わぬ形で早いうちにチャンスが来ました。
決心してから一年ほどで、会社が新しく当時戦争中のベトナムで米軍相手にビジネスを展開することになりました。現地赴任については戦地なので、応募制にするとのことでした。その頃のベトナム勤務の給料は国内の約3.5倍でした。現在でいえば国内で25万円だとすれば100万円近い給料です。したがって、応募者は非常に多く、採用予定の約10倍の人数でした。選考基準は米軍相手のビジネスだったので、英語力が中心でした。
しかし、単に収入目当で応募した人は英語力がなく合格しませんでした。筆者は英会話を勉強していたので選考に合格しました。このことから夢の実現に重要だといえることの一つは、夢実現のための準備をしておくということです。
人生には思わぬチャンスが来たりしますが、その時に準備をしていないとその幸運をつかめません。しかし、その幸運はいつ来るか分かりません。それでも頑張っている人にチャンスは来ます。さらに準備している人はそのチャンスを見逃すことはありません。目標を持っていると常に自分の心のアンテナが磨かれるため、その幸運の信号を受信します。さらには準備の過程を楽しむことも重要だと思います。筆者の場合、英会話教室では、同じクラスの一歳上の美人受講者と仲良くなり、FREE TALKの時間で「WOULD YOU GO TO HOTEL WITH ME?」(ホテルに一緒に行きませんか)とユーモアのある会話を楽しんでいましたから、教室のある日が楽しみでした。自分の夢実現のため目標を明確化し準備をしそれを楽しみましょう。

さくらニュース 17年 11月号 形から入る

2017年11月7日 / さくらニュース

形から入ること「形入(ぎょうにゅう)」

筆者は笑顔の出し方の研修講師を行うことがあります。受講者は店員の方や営業マンの方、旅館、医院のスタッフの方などです。その際、二人一組で向かい合い、お互い大きな声を出して無理して笑っていただきます。その演習をやっていただき、受講者に感想を求めると「無理して笑ったが、気持ちも大変おかしくなった。楽しくなった。」という声が聞かれます。そうです、身体(姿勢や態度)と言葉と気持ちは非常に密接に絡んでいます。姿勢や態度を作ると気持ち(心)まで変わっていきます。このことを証明するために別な事例からも解説しましょう。
やはり研修で受講者の皆さんに立っていただき「有り難うございました」と2種類の感謝のお辞儀をしてもらいます。最初は軽くちょこんと首だけ曲げるようなお辞儀で声を出してもらいます。2回目は腰から45度ほど深くまげて頭を上げるときはゆっくり上げてください、と伝えます。その後二つの動作をしているときの気持ちはどのようでしたか、と数人の受講者に聞きます。その答えは「二回目に深く曲げたお辞儀のほうが本当に感謝の気持ちが入ったように感じます」ということです。
仏教の教えで「形即心」(ぎょうそくしん)形が心を現す。という言葉がありますが、その通りです。心を明るくしようと思っても、心を込めて感謝をしようと思っても心を変えようとしても簡単ではないですよね。心は別にして、形(態度・姿勢)から入るのです。
他にも営業管理職研修の時、部下育成で困っていることの一つに部下の営業マンが自信のない態度でお客様に接するということが多くあります。筆者はそういう部下に「どのように接していますか?」と聞くと「もっと自信持って営業しろと言っているんですがねえ」とのことでした。大変失礼かもしれませんが、その程度の話し方で自信を持たせることができたら部下育成は本当に簡単ですよね。このような場面でも「形入」で行えばいいのです。
つまり心は別にしておいて形だけ自信がある態度にすればいいのです。他者から見て自信がある態度姿勢とは・背筋が伸びている・目線が相手の目を見ている・大きな声・笑顔のある表情・言葉が断定的でゆっくり、などが挙げられると思います。部下にこのような態度姿勢を練習させてそれを見てあげればいいのです。考えてみて下さい。スポーツなどはこの形から入ることがほとんどと言っていいのです。ゴルフも打つフォームから、剣道も柔道も形からですし、茶道なども同様です。心を重視する座禅でさえも座る姿勢を徹底的に教えられます。いろいろなことに形から入る「形即心」「形入」を導入しませんか。

さくらニュース 17年 10月号 話の聞き方

2017年10月11日 / さくらニュース

新手法 話の聞き方

多くの方はご存知だと思いますが「話し上手は聞き上手」だと言います。つまりコミュニケーション能力は聞き上手だと言ってもいいくらいなのです。この能力は自分が幸福になるために、あらゆる人にとって重要な能力と言っていいと思います。よって改めて解説したいと思います。自分を魅力的にするために身に着けていただきたい能力です。聞き方には色々あります。五感で「聞く力」をもつことです。以下にその方法を具体的に説明します。
1.「目で聞く」相手の目をおだやかに見つめながら真剣に聞く。ただ、会話中にずーっと相手の目を見つめるのは実際にやってみると、かなり辛いというか、お互いにしっくりこないという感じになります。したがってで時々相手の目を見て別な方向を見るということにしましょう。まあ、目を見ている時間は30%ぐらいでいいと思います。

2.「耳で聞く」言葉に含まれる調子や強さを感じ、相手の訴えたい気持ちをくみとる。相手が「はい」または「いいえ」あるいは「頑張ります」という答えにもその語調をとらえて本音は違うのかな、と感じ取ることです。

3.「表情で聞く」相手の喜怒哀楽の感情に応えてあげる。相手にリラックスしてもらい本音を聞くためには基本的には笑顔がいいでしょう。ただ、悲しむような話題には共感するような表情で。

4.「口で聞く」あいづちを打ったり、大事な言葉はこちらも復唱して、話をはずませてあげる。この復唱例は「そのような辛いことを経験しておられるのですね」また、質問も重要です。相手が「はい」「いいえ」で答える特定質問ではなく、自由に答えるように仕向ける自由質問を多用するといいでしょう。例「今の仕事についてご自分ではどのように思っておられますか」「そのような考え方はどうして生まれたのでしょうか」

5.「手で聞く」「態度で聞く」まず、メモをとる。メモを取っていると相手は自分の話が重要視されていると感じ満足します。他に身振り手ぶりで興味を表現する。

以上のようなことに注意して相手の話を聞くようにしてみていただきたいと思います。

しかしながら、実際に行ってみると簡単ではなく、最初はきっと自己評価でも50点以下の出来になると思います。ただ、慣れてくると80%ぐらいはできるようになるでしょう。ただし、その対話を長く行うとかなりの疲労を感じるようになります。そのぐらい他者の話を真剣に聞くのはエネルギーを使いますが、人間関係に非常に大切なことなので是非身に着けたいものです。

さくらニュース 17年 9月号 精神的にタフになろう

2017年9月12日 / さくらニュース

精神的に強くなるための考え方

 

いろいろな本・講演等を見聞きし、精神的な強さは、以下のようになるのではないかと思っています。
1.失敗にこだわらない:何かうまくいかなっかったときには、この方法ではうまくいかないことが学習できたと考え失敗で落ち込まないこと。
2.ネガティブな人と付き合わない:人はやはり他人の影響を受けてしまうものです。自分をプラス方向の影響に導く人とは付き合い、マイナス方向に影響する人とはできるだけ付き気合わないようにする。マイナスの人とは、使う言葉がネガティブな人、愚痴が多い人です。
3.自分を信じる:精神力の強い人には忍耐力がある。失敗しても疲れても面白くないと思っても諦めることはない。誰かに「絶対に無理だ」と言われても、それは他人の意見だと受け止めましょう。
4.謝罪を求めない:強い精神力の持ち主は、非を認めずに謝らない人のことも恨まずに許す。そうすれば物事が円滑に進むことを知っているからだ。過去の恨み事や感情に「寄生」する憎しみや怒りは、今の幸せや喜びを台無しにします。
5.自分を哀れまない:自分を哀れむことは、自らを現状に屈した無力な犠牲者だと決めつけるのと同じだ。精神力の強い人は、自分を哀れんだりしない。それは自分自身の力を放棄することを意味するからだ。
6.恨まない:他人を恨むことで生じる否定的な感情は、ストレス反応です。ストレスを抱え続けることは、健康に害を及ぼす。研究によれば、高血圧や心臓病にもつながる。精神的に強い人は、自らストレスを抱え込むようなことはしない。
7.人のことに介入しない:精神的に強い人は、他人を批判しない。人の能力はそれぞれに異なることを知っているからだ。自分を人と比較することは、制約を課すことだ。嫉妬することでエネルギーを浪費せず、人を理解することにそのエネルギーを使ってみよう。人の成功を祝福することは、あなたにとってもその人にとっても、プラスになる。
8.怠けない:カナダの医療機関、イースタン・オンタリオ・リサーチ・インスティテュートの研究結果によると、10週間にわたって週2回の運動を続けた人は、社会性、知能、運動能力の各項目に関する自己評価が上がったという。自分自身のボディイメージや、自尊感情も改善した。自信を高めるための努力を続けることは、精神的な強さを得ることにつながる。
9.悲観しない:ニュースを見れば、戦闘や攻撃、脆弱な経済、企業の破綻、環境災害など、世界は悪い方向に向かっていると思わせるようなことばかりだ。だが、精神的に強い人は、自分にはどうすることもできない事柄に心を捉われたりしない。

 

さくらニュース 17年 8月号 作業と仕事

2017年8月9日 / さくらニュース

作業と仕事の違い

作業と仕事の違いは何でしょうか。辞書で調べると特に両者の区別をせず作業は仕事の一部となっています。そこで、筆者は以下のように定義づけたいと思います。つまり、作業は言われたことをそのまま行うことです。仕事とは言われたことをそのままやるのではなく、自分なりの工夫をして効果を出すこと。より良い方法や快適な環境を作る。やる気の出る環境を作り、考え実行することと定義したいと思います。例えば、配送の仕事であれば、ただ単に与えられた荷物を書かれている住所に届けることは作業です。仕事とは、どのように回れば効率がいいかを考えることであり、不在が多ければその問題の解決策を考えることだと思います。他にも駐車違反にならないようにするためにはどうするか。荷物を損傷しない運び方を考えることも同様でしょう。事務関連の仕事ならPCのインプットミスを少なくするにはどうしたらよいか。自分のミスだけではなく、他部門や他者がインプットするミスもなくすように考えること。事務の効率化のためにITをどのように活用化すればいいのかを考えることなども重要だと思います。具体例でいえば店頭販売においてJR東日本の大宮駅のパートの駅弁販売員が販売方法の工夫をして成果を上げ正社員になり、その後に営業所長になった事例もあります。ソフトバンクの孫正義社長は「脳みそ筋肉説」ということを言っています。

つまり、筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなる。とにかく考えなさい。そうすれば頭もよくなります。考えれば考えるほど頭はよくなります。ということです。また、筋肉は使わなければ弱っていきます。頭も使わなければ悪くなるということです。これは現場の人だけではなく、幹部やリーダー的立場にいる人も同じです。やる気のない部門のリーダーなら、どうしたらやる気ある雰囲気や仕組みを作れるのかを考えること。そのためにはモチベーションの理論を学ぶことも重要です。部下の意見を聞いてみる。これらのことはただ単に目の前の作業や仕事を自分一人で考えても意味は薄いでしょう。本を読んでみる。ビジネスセミナーを受講してみる。例えば、自社で利用している優秀と思われる仕入先の販売店の会議をオブザーブ(見学)させてもらう。また、感動したビジネス書の著者に実際に会ってみるなどのこともいい方法です。「そんなことできるの?」という疑問を持っておられる方は考え方のブレークスルー(問題突破)のいいチャンスなので試してみるといいと思います。このようなことは一回試してみてダメだった。ということではなく、何回かチャレンジしてみましょう。

さくらニュース 17年 7月号 外面重視 

2017年7月11日 / さくらニュース

外面を作ろう、内面を育成するために

筆者はボランティア的に笑いの効果についての講演をすることがあります。その際、スタート時に受講者に二人一組で顔を見合わせてもらい、あえて無理して大きな声で笑ってもらいます。これをやることに二つの意味があります。一つは講演スタート時にこれをやると、明るい雰囲気が作られます。二つ目は無理して笑ってもらっても、実際は笑っている本人も心の状態が面白おかしい気持ちになるので、その気持ちを確認してもらいます。ある意味、顔の表面に笑いを作ることが、内面の心も笑い、楽しくなることを実感してもらいます。その時に以下のように解説します。「皆さん、今おかしくないのに無理して笑っていただきましたが、それでも途中から気持ちや心も本当に面白おかしくなりましたよね。なぜでしょうか? 実は人間の心は人間の体、つまり、形、姿勢、表情などに大きく影響されます。表情や体の姿勢や形を作っていると、作っているその姿勢や表情にあった心になっていきます。別のことで実験してみましょう。今から感謝の気持ちを表す2種類のお辞儀をしてみます。最初は首だけをちょこんと曲げるだけで『有り難うございます』と声に出して言ってください。そしてその時の自分の気持ちを把握、感じて下さい。次に深くお辞儀をします。腰を約45度に曲げてゆっくり3秒ほど『有り難うございます』を声に出して言ってください。この二回目もその時の自分の気持ちを把握、感じて下さい。そして二つの違いを把握してください。と説明し、その二つのお辞儀を実際やっていただきます。その後、近くの受講者の方に感想を聞きます。そうすると「後のほうが心がこもって本当に感謝している気がした」と言うような言葉が返ってきます。そうです。体の姿勢や表情を作ると心や気持ちもそれに従っていきます。これを「形入(ぎょうにゅう)」と言います。形から入っていくので、「形入」です。これは笑いと感謝の気持ちだけではなく、お詫びの気持ちを表すのも同様で、深いお辞儀のほうが浅いお辞儀より外面も内面もお詫びの感じがします。よく「言葉だけで心がこもっていない」などと言われることがありますが、このように感謝やお詫びの気持ちを表す際に深くお辞儀をすれば、第三者に心がこもって映ります。また、形に表すことによって心がこもり、心が成長します。笑いも感謝もお詫びの心も同様だとお伝えしましたが、この3つだけではなく、人間の気持ちに関するあらゆることが同様です。例えば明るい気持ちを作るには上を向いて歩き、歩幅を大きく早めに歩くなども同じ効果があります。

さくらニュース 17年 6月号 チームの育成 

2017年6月2日 / さくらニュース

チームの育成

リーダーが自分のチームを育成することで悩むのは低業績のメンバーの育成です。そこで彼らを何とか育成しようと頑張ることが多いものです。筆者もコピー機の営業係長時代に低業績のメンバーを叱咤激励して頑張ったことがありました。新任営業係長に命ぜられ張り切っている私の係に6期連続目標未達成の営業マンF君が配属されてきました。筆者の会社は大手でしたので営業マンだけでも全国に500人以上いました。その中でF君は470位以下だったと思います。それでも筆者は彼をなんとか目標達成をさせようと思い頑張りました。当時部下は6人程いましたが、月間同行訪問数の70%、週間では3-4日は彼にピッタリついて同行訪問していました。顧客との同行面談では初訪問から再訪、持込デモ取(デモとはコピー機を試しに数日間使用していただくこと)提案、契約まで私が行いました。それは彼に学んでもらい能力を伸ばしてもらいたいと思ってのことでした。さらには彼が目標達成し、達成感を味わい自信をつけてもらいたかったからです。そして半期(6か月)が経過し、やっと目標達成し筆者も喜びました。ところが、彼はその半期だけで私の配属から外れ、隣の課に人事異動になりました。それでも筆者は彼が能力と自信を身に着け実績が伸びると思いました。しかしながら、現実はまた元通りの彼に、つまり、目標未達成の彼に戻ってしまいました。このことから筆者が何か学べたかと言えば全く学べていませんでした。ただ、分かったことは筆者との同行時、顧客と筆者との面談で、彼は営業スキルを全く学んでいませんでした。また、目標達成しても彼は全く自信を持っていなかったことです。今思えば、彼が自信を持てなかったことの理由は明白です。彼自身の能力・行動による実績ではなく筆者の能力だったからです。この件をどのように結論付けたらいいか悩みました。後日、本を読み、松下幸之助氏の言葉を聞き納得しました。「10人中2・3人は戦力にならない。それを覚悟で経営をしなければならない」と。つまり、打てば響くようなメンバーに重点的に注力するか、チーム全体に注力する。打って響かないメンバーには注力しない。しかしながら、戦力にならない社員はどうするのか、という疑問が沸いてきます。中小企業の経営者は「やる気のない奴は切ってしまえ」という方も多いようですが、切ってしまうと、残ったチーム内で新たに最下位になった営業マンの居心地が悪い雰囲気になります。そういう人は「次は俺が切られる番か」と不安になり、やる気もそがれます。よってチーム全体にやる気が出る仕組みや雰囲気を作り、課題に対して主体的に取り組むよう促すことがいいでしょう。

さくらニュース 17年 5月号 リーダーシップ

2017年5月8日 / さくらニュース

リーダーシップとは

リーダーシップについていろいろ話はありますが、真の意味やその能力をどのようにして身に着けるかを理解している人は少ないようです。この点を解説しましょう。まずリーダーシップの意味ですが、集団の統率力と言われています。この統率力はどうやって身に着ければいいのでしょうか。重要なことは他者に対する影響力を身に着けることです。影響力とは、例えば、リーダーが「右に行こうよ」と言ったときに多くの人が右に行くというようなことです。ある人の考えが多くの人に賛同を得るようになればリーダーシップがあるということになります。そのプロセスとして説得があります。よって説得力も必要となります。何か特別のことがあったときにリーダーシップを発揮すればいいわけではなく、普段からの信頼関係が重要になります。うそを言わず、誠実であることが重要です。特に重要なのはこのリーダーについていけば得をするということです。この得というのは、お金だけではなく、それより大切なこともたくさんあります。例えば、船が難破して無人島に上陸した場合などはお金より食料を見つける能力だったり、助かる方法を示すことだったりします。また会社で世間並の収入を得ていれば、もっと欲しいのは、お金よりプライドだったり、自己重要感だったりします。高収入を得ていてもプライドを傷つけられるような言動があったらそのリーダーについて行くことはないでしょう。そういうことが影響力ということです。そのようなリーダーシップ能力を身に着けるためには前述のように部下や後輩に得させるということになります。得をさせるということを勘違いしないでほしいのですが、個人の希望する価値観は多岐にわたります。例えば、部下が成長する、組織の結束力がある、経営が安定している、組織のイメージが良い、等々です。よって、普段から部下や後輩の立場に立って考え組織全体をどのようにしていくかを考えることが重要です。人間ですから絶対的に正しいリーダーはいません。お釈迦様、キリスト、だけではなく、総理大臣、大統領でさえも絶対的なリーダーでありません。集団の全員から支持されるというようなことはないのだと考えて行動していいと思います。行動して失敗したらその原因を考えやり直せばいいのです。ただし、相手の立場をよく考えて行動すべきでしょう。リーダー個人の得だけを考えていたら最初から失敗することはほぼ間違いないでしょう。

さくらニュース 17年 4月号 趣味を生かしビジネスに

2017年4月26日 / さくらニュース

趣味もビジネスの武器に

いわゆるカタカナ生保(外資系生命保険)のある営業マンは自分の学生時代からの趣味であるクルーザー(寝泊まりできるヨット)を生かして経営者を狙って営業をしています。経営者は一般の人より契約額も大きく、従業員向け保険契約の可能性があるので、数倍のビジネスになるからです。自分の既存客である中小企業の経営者を数人招待して伊豆大島一泊のクルージングに行きます。一泊とはいえクルーザーなので寝泊まりはヨットの中、経費はたいしてかかりません。中小企業の経営者といえども、なかなかクルーザーで寝泊まりすることやヨットの艇内でランプの光の中でお酒を飲むような貴重で珍しい体験はできるものではありません。雑談でかなり盛り上がり感動ものです。この営業マンはこのイベントの後、スナップ写真を届けるというような名目で後日お客様に訪問します。そのときクルーザーでの思い出話に花を咲かせたあと「大変恐縮ですが知人の経営者の方3人をご紹介いただけないでしょうか」と言います。そうするとお客様もヨットに招待された「借り」もあるので真剣に紹介できる経営者を考えます。すぐその場で電話をしてくれたり、後日に紹介してくれたりします。その新規のお客様になった方をまたヨットに招待する方法を繰り返したりして営業を拡大します。また、筆者の知人で軽自動車のオープンカーを持っているリフォーム会社の営業マンがいます。彼は趣味でカーレースにも出ています。彼はお客さまのところに行き、子供がいるとできるだけ親子をそのオープンカーに乗せてその家の周りを10分程度走ります。オープンカーを持っている人は少ないので、当然乗ったことのある人も少ないですね。よって親子で風を切る走りの素晴らしさに感動します。子供を自分の味方につければ、その結果営業にもとても良い影響を与えます。「将を射んと欲せばまず馬を射よ」の格言通りです。

このように紹介すると「私はそのような趣味がないものですから」と「できない理由」を話す人が多いのです。筆者の講演会でこのような話を聞いた不動産会社の営業マンは一念発起し、似顔絵教室に通いました。筆者の似顔絵も彼に描いてもらいましたが、そっくりでした。それでお客様の顔の写真をスマホで撮り、似顔絵を描きプレゼントします。そうすると大変喜ばれビジネスも順調になるということです。自分の強みがなければ自分で作るという発想も重視してほしいものです。ビジネスは他者の役に立つことが重要ですが、ビジネスそのものではなく、趣味などで役に立つのもOKなのです。

さくらニュース 17年 3月号 愚者は経験に学び

2017年3月6日 / さくらニュース

愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ

スポーツの監督・会社の上司で、まだまだ怒鳴り飛ばすような部下育成をする人が多いようです。「お前の欠点はなあ、バットスイングがフラットじゃないんだよ。何べん言ったら分かるんだよ。家で素振りやってきているか」こういう人は、なぜ否定的メッセージで育成しようとしているのかというと、過去に自分がそのように育てられたから、という人が多いようです。こういう人が経験に学ぶということになるでしょう。歴史上の人物で良いリーダーだったような人はそういう否定的メッセージ発信で成功したでしょうか?ということを考えていただきたいと思います。以前このコラムでもご紹介したことがあると思ますが、二宮尊徳が次のような言葉を残しています。「可愛くば五つ教えて三つ褒め一つ叱ってよき人とせよ」。江戸時代の思想家佐藤一斎は「十中七つ褒め三つ叱る」(十のうち七つは褒めて三つ叱る)。太平洋戦争の海軍司令官・山本五十六は「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」と言っています。歴史上の有名な人物で、「ただ怒鳴り飛ばせ」「怒れ」「ただ叱れ」というようなことを言っている人の言葉はありません。よく考えていただきたい。信頼関係のない人の言うことに従うでしょうか。いつでもただ他者を否定するようなメッセージを発信する人を心から信頼するでしょうか。なんのかんの言っても人は自分が成長するような人、すなわち信頼関係のあるような人に従うのは当たり前だと思います。

ところで、筆者は講演会で多くの聴衆の前で次のように質問することがあります。「皆さんご自身が褒められて育つタイプか、叱られて育つタイプか。どちらだと思うか挙手して下さい」と。どちらが多いと思いますか? 90%以上は前者すなわち褒められて育つという方に挙手します。筆者が講師の陸上自衛隊員向けの研修でも同じようなことでした。残りの10%の方すなわち叱られて育つというタイプの皆さんでもあくまで信頼している上司のもとではということだと思います。ただ、リーダーになったばかりの人は他者の良い点を見つけるのが難しいようです。良い点を見つけるには、まずは社会人だったら当たり前にできている点を見つけるといいと思います。例えば、「ここ3か月遅刻がないね」「日報月報がちゃんと納期通りに提出されているね」などです。こういうことは自分が良い点が重要だと思えば探せるものです。もう一つ重要なことは部下の良い点を見つけても言葉を口にする勇気が必要だということです。今までそのような良い点を言わなかった人が言うと、周りからあれ、あの人変わったの?などと思われるのが嫌で言えない人も多いのです。そこは勇気をもって変わって(変わるとは成長すること)行くことが重要です。歴史に学んで自分が成長しましょう。